ユニオン・アソシエーション

ユニオン・アソシエーションの歴史

ユニオン・アソシエーションは1884年の1年間のみ、アメリカで存在したプロ野球リーグです。このリーグは、セントルイスの資産家ヘンリー・ルーカスと彼に賛同する仲間たちによって設立されました。ルーカスは、故郷であるセントルイスにナショナルリーグの球団を誘致して成功したいと考えていましたが、すでにアメリカン・アソシエーションに所属するセントルイス・ブラウンズがあったため、ナショナルリーグからの承認を得ることができませんでした。そこで、彼は自らの資産を投じて新たにリーグを立ち上げる決意をしました。

設立の背景

設立にあたり、ユニオン・アソシエーションは特に選手への契約に対して緩い方針を取っていました。これは、1879年にナショナルリーグで合意された『保留条項』によって抑えられていた選手の給料に対抗するための措置でした。ルーカスは自身が所有するセントルイス・マルーンズを強化するために力を注ぎましたが、リーグ全体の戦力均衡や収入分配といった仕組みはほとんど存在せず、結果的に各チーム間の実力差が広がってしまいました。このため、優勝争いに対する関心が薄れていくこととなりました。

また、運営基盤が脆弱なチームがシーズン中に次々と解散する事態も発生し、リーグは「オニオン・リーグ」と揶揄されることもありました。最終的に、ルーカスのマルーンズが翌年にナショナルリーグへ参加することが決まったため、1885年1月にユニオン・アソシエーションは解散しました。マルーンズはナショナルリーグに加盟しますが、その後わずか2年で消滅してしまいました。

参加チームの動向

ユニオン・アソシエーションには多くの参加球団がありましたが、シーズンを通じて解散するチームもいくつか存在しました。例えば、アルトゥーナ・マウンテンシティーは5月31日に解散した後、カンザスシティ・ユニオンズが加わりました。さらに、フィラデルフィア・キーストーンズやウィルミントン・クイックステップスもそれぞれ解散し、新たなチームが加わるなど、リーグ内の動きが活発でした。

シーズン記録

ユニオン・アソシエーションのシーズン記録も興味深いものがあります。最多勝利数はビル・スウィーニーが記録した40勝、最優秀防御率はジム・マコーミックが樹立した1.54です。そして、打撃においてはフレッド・ダンラップが最高打率.412、最多安打185本、最多得点160、最多本塁打13本という驚異的な成績を残しました。

また、1884年には無安打試合も発生し、ディック・バーンズとエド・カーシュマンがそれぞれの試合で無安打の快挙を達成しました。更に、シカゴ・ブラウンズは三重殺を記録し、ヒュー・デイリーは9回19奪三振を成し遂げるなど、リーグの中での記録が残っています。

ユニオン・アソシエーションは短命ながらも、アメリカのプロ野球史に一時的に名を刻んだリーグであり、多くの選手やファンへ影響を与えた存在と言えるでしょう。

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