ユニオン駅 (ナッシュビル)

ナッシュビル ユニオン駅：歴史と建築が織りなす物語

ユニオン駅は、1900年にアメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルに開業した旧鉄道駅で、現在はホテルとしてその美しい姿を保っています。ダウンタウンのすぐ西に位置し、その壮麗な建築は多くの人々を魅了してきました。

ヴィクトリア・ロマネスク様式の傑作

駅舎は、ヴィクトリア・ロマネスク・リヴァイヴァル建築の様式で建てられ、まるで城のような外観が特徴です。かつてはタワーに初期の機械式デジタル時計が設置されていましたが、第二次世界大戦中に駆動ベルトの入手が困難となり、伝統的なアナログ時計に交換されました。また、タワーの頂上にはローマ神話のマーキュリーの銅像が設置されていましたが、1951年の暴風で倒壊。その後、1990年代中期にオリジナルのマーキュリーを二次元のトロンプ・ルイユのスタイルで再現し復元されましたが、1998年の竜巻で再び崩壊。しかし、すぐに再復元されています。

1935年には、駅の東側に郵便局のナッシュビル本局が完成し、通路で接続。以降30年以上にわたり、列車による郵便物の輸送が行われました。

鉄道輸送の衰退と駅の閉鎖

第二次世界大戦中には、多くの兵士や慰問協会への郵便輸送でピークを迎えましたが、アメリカ国内の旅客鉄道の衰退とともに、駅の利用も減少。1960年代には、1日に数本の列車が通るのみとなり、駅の多くの場所が閉鎖され、建物内には鳩が住み着くようになりました。1971年には、アムトラックがフロリディアン号の運行区間を短縮し、1979年10月に同路線が廃止されると、駅は完全に閉鎖されました。

ホテルとしての再生

長年再建の目処が立たず、駅はアメリカ合衆国連邦政府一般調達局に差し押さえられました。しかし、アメリカ合衆国国家歴史登録財に登録されたことで、駅舎の保存を求めるナッシュビル市民の声が高まりました。1980年代初頭、投資家グループが駅を改修し、豪華なホテルとして再生させる計画を立て、これが実現しました。

ハイイールド債を活用した運営は当初困難を極めましたが、新たな投資家グループがホテルの経営を引き継ぎ、室料と稼働率を見直すことで、利益を生み出すことに成功しました。

列車庫の消失と現在

駅舎に隣接していた巨大な列車庫は、ホテルとしての利用には不向きであったため、様々な活用案が検討されましたが実現せず、2000年代終盤に火災で焼失しました。現在、その跡地には何も残っていません。

ユニオン駅は、その歴史的な価値と美しい建築様式から、ナッシュビルのランドマークとして、またホテルとして、多くの人々に愛され続けています。

外部リンク

ユニオン駅ホテル公式サイト (英語)
マリオットによるユニオン駅ホテルのサイト (英語)

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