ユーゴスラビア軍

ユーゴスラビア軍は、ユーゴスラビアという国家が成立してから解体されるまでの間、その時々の政治体制に応じて様々な形態を取りました。以下に、その主な変遷を解説します。

ユーゴスラビア王国軍 (1918-1941)

第一次世界大戦後、セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国として成立したユーゴスラビア王国は、独自の軍隊を組織しました。この軍隊は、陸軍、海軍、空軍から構成され、王国の領土と主権を守る役割を担っていました。しかし、第二次世界大戦の勃発とともに、ナチス・ドイツの侵攻を受け、王国軍は解体されました。

ユーゴスラビア王国陸軍
ユーゴスラビア王国海軍
ユーゴスラビア王国空軍

ユーゴスラビア人民解放軍 (1941-1945)

第二次世界大戦中、ユーゴスラビアではパルチザンと呼ばれる抵抗運動が展開されました。その中心となったのが、ユーゴスラビア人民解放反ファシスト会議の軍隊であるユーゴスラビア人民解放軍です。ヨシップ・ブロズ・チトーの指導の下、人民解放軍はナチス・ドイツやその協力者と戦い、ユーゴスラビアの解放に大きく貢献しました。

ユーゴスラビア人民軍 (1945-1992)

第二次世界大戦後、ユーゴスラビアは社会主義国家として再出発し、国名もユーゴスラビア社会主義連邦共和国と改称されました。これに伴い、軍隊もユーゴスラビア人民軍として再編されました。人民軍は、連邦を構成する各共和国出身の兵士によって構成され、連邦全体の防衛を担っていました。冷戦時代には、ソ連の影響下にある東側諸国の一員として、西側諸国と対峙する役割も担いました。

ユーゴスラビア陸軍
ユーゴスラビア海軍
ユーゴスラビア空軍

ユーゴスラビア軍 (1992-2003)

1990年代に入ると、ユーゴスラビアでは民族間の対立が激化し、各地で紛争が発生しました。1992年には、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア（現北マケドニア）が独立を宣言し、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国は解体されました。残ったセルビアとモンテネグロは、新たにユーゴスラビア連邦共和国を樹立し、軍隊もユーゴスラビア軍として再編されました。しかし、2003年には国名がセルビア・モンテネグロに改称され、ユーゴスラビア軍も解体されました。

ユーゴスラビア軍は、その歴史の中で、王国の防衛、ファシズムからの解放、社会主義体制の維持、そして民族紛争への対応など、様々な役割を担ってきました。その変遷は、ユーゴスラビアという国家の歴史そのものを反映していると言えるでしょう。

関連項目：
ユーゴスラビア
歴史上の軍隊の一覧

もう一度検索