ユージン・ハッツ

ユージン・ハッツ（Eugene Hütz）は、1972年9月6日、ウクライナのキエフ近郊で生まれました。音楽一家に育ち、父親はウクライナ初のロックギタリスト、母親はロマのタップダンサー兼歌手という環境でした。

1986年、14歳の時にチェルノブイリ原子力発電所事故が発生し、一家は故郷を離れざるを得なくなりました。その後7年間、東欧各地の難民キャンプを転々としながら、ポーランド、ハンガリー、オーストリア、イタリアで生活しました。

1993年、家族と共にアメリカのバーモント州に移住。そこで「フライングファック」というバンドを結成しました。このバンドは、後のゴーゴル・ボールデロに繋がる実験的なバンドで、ジプシー音楽をベースに各国の民族音楽を取り入れたパンク・ロックを演奏していました。

1997年、ニューヨークへ移住。この頃、母親のドイツ旧姓である「Hütz」を名乗るようになります。そして1999年、多文化、多国籍、多民族、多言語のアーティストからなるジプシーパンクバンド、ゴーゴル・ボールデロを結成。ボーカル・ギタリストとしてカリスマ的な人気を博し、2008年にはフジロックフェスティバルで来日も果たしました。

マンハッタンのブルガリアン・バー「Mehanata」を拠点としてDJとしても活動しており、同店は東欧文化の発信地として知られています。

2006年には、映画『僕の大事なコレクション』で準主役として俳優デビューし、映画音楽も担当しました。同年、彼自身のルーツを辿る東欧横断の旅がドキュメンタリー『The Pied Piper of Hutzovina』として制作されています。2007年にはマドンナとLive Earthで共演したことがきっかけで、2008年、彼女の初監督映画『ワンダーラスト』で主演を務めました。

2008年からは友人の勧めでブラジルに在住しています。

ユージン・ハッツは、その音楽性だけでなく、彼の波乱万丈な人生そのものが多くの人々に影響を与えています。ジプシーパンクという独自のジャンルを確立し、多文化を融合させた彼の音楽は、世界中のファンを魅了し続けています。

日本では「ハッツ」と表記されることが多いですが、本人は「ヒュッツ」と発音しています。英語圏でも「Hütz」と表記されます。

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