ヨセフ・モルナール

ヨセフ・モルナール

ヨセフ・モルナール（Josef Molnar, 1929年9月7日 - 2018年11月21日）は、オーストリア出身の著名なハープ奏者であり、声楽家としても才能を発揮しました。彼は日本ハープ協会の会長を務め、日本のハープ界に多大な影響を与えた人物として知られています。ヨーゼフ・モルナールとも表記されます。

経歴

モルナールは、オーストリアのゲンゼルンドルフ（ウィーン近郊）で生まれました。音楽家としてのキャリアは、名門ウィーン少年合唱団での経験から始まり、その後、ウィーン音楽アカデミーで研鑽を積みました。当初はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のハープ奏者として活躍していましたが、1952年にNHK交響楽団の招きを受けて来日しました。

1955年に一時帰国したものの、再び来日し、東京芸術大学で講師、後に客員教授として教鞭を執りました。1964年には上野学園大学の教授に就任し、日本のハーピスト育成に尽力しました。彼の指導を受けた多くの門下生が、日本のハープ界を牽引する存在となっています。その功績から、“日本ハープ界の父”と称えられています。

また、モルナールは国際的な活動も積極的に行い、イスラエル国際ハープ・コンクールやフランスの国際コンクールの審査員を務めるなど、その音楽的才能と知識は世界的に高く評価されていました。1966年には、その功績を称えられ、オーストリア科学・芸術名誉十字章を受章しました。

2018年11月21日、モルナールは老衰のため東京都内で逝去しました。89歳でした。

軽井沢ミュージックサマースクール

モルナールは、故郷オーストリアで開催されるような音楽祭を日本でも開催したいという強い思いを持っていました。日本の自然環境、特に軽井沢の風景がオーストリアに似ていると感じたことから、1962年に「軽井沢ミュージックサマースクール」を創設しました。このサマースクールは、半世紀以上にわたり開催され続け、多くの音楽家を育成する場となっています。

軽井沢の宿泊施設「B&Bホテル漂鳥庵」によると、モルナールが軽井沢を訪れるようになったきっかけは、声楽家の福澤アクリヴィと福澤幸雄親子に誘われたことだったとされています。軽井沢の豊かな自然の中で、音楽家たちが集い、交流し、才能を磨く場を提供したモルナールの功績は、日本の音楽文化にとって非常に大きなものであったと言えるでしょう。

ヨセフ・モルナールは、ハープ奏者、声楽家、教育者として、その生涯を音楽に捧げ、日本の音楽界、特にハープ音楽の発展に大きく貢献しました。彼の音楽に対する情熱と、後進育成への熱意は、多くの人々に感銘を与え、その遺志は今後も受け継がれていくことでしょう。

もう一度検索