ヨハンセングループ

ヨハンセングループの概要と歴史的背景

ヨハンセングループは、第二次世界大戦末期の日本において、吉田茂を中心とした戦争終結を目指す工作グループとして知られています。1945年4月、憲兵隊によってメンバーは逮捕されましたが、その背景には緊迫した国際情勢と国内の政治動向がありました。

概要

「ヨハンセン」とは、当時吉田茂が監視対象とされていたことから、軍部・憲兵隊の符丁であるとされます。これは「吉田反戦」の略称とされ、彼を中心に集まった反戦派の動きと連動しています。しかし、このグループは特定の組織ではなく、その構成や目的が曖昧な部分が多くありました。

グループの形成

吉田茂は1941年12月の日米開戦前から、平和を求める「親英米派」として知られ、戦争回避に努めていました。彼は、岳父の牧野伸顕、元首相の近衛文麿、外務次官・幣原喜重郎などの有力者たちと連携し、戦争の早期終結を図る運動を推進していました。この動きは、陸軍当局から反軍部工作とみなされ、厳しい監視下に置かれていました。

天皇への上奏文

1945年に入り、戦局が厳しさを増す中、昭和天皇は吉田と近衛文麿に接見を求めます。吉田は近衛との協議をもとに、天皇に提出する「近衛上奏文」を作成しました。この上奏文では、軍部の独裁が続くことで日本が共産主義に陥る危険性を訴え、早急に戦争の終結が求められると訴えました。二月中旬、近衛はこの上奏文を天皇に提出しますが、その内容は第三者によって憲兵隊に漏れ、吉田の身柄は逮捕されることになります。

逮捕とその後

上奏文の存在が発覚したことで、吉田茂は1945年4月15日に逮捕され、近衛の秘書やジャーナリストも巻き込まれる事態となります。陸軍は吉田に対し、「造言飛語」罪での告訴を試みましたが、全容の立証ができず、5月2日には不起訴処分となります。この後、吉田は一時的に刑務所に収監されたものの、すぐに釈放されました。

歴史的評価

戦後、吉田茂はGHQから「穏健派」の政治家として評価されました。中国に対して強硬派であったにもかかわらず、戦争終結後にはその反軍部的な側面が強調されました。このグループの活動については、実際よりも過大評価されることもありますが、終戦工作への関与とその結果としての逮捕は、彼の政治生涯に大きな影響を与えました。

注釈

• - 原彬久著『吉田茂 - 尊皇の政治家 -』

関連項目

• - NHK制作のドラマ『土曜ドラマスペシャル 白洲次郎』では、ヨハンセングループが描かれています。

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