ヨハンナ・フォン・プフィルト

ヨハンナ・フォン・プフィルト：ハプスブルク家を支えた賢夫人

ヨハンナ・フォン・プフィルト（1300年 - 1351年）は、中世ヨーロッパにおいて、アルザス地方のフェレット伯爵領を相続し、オーストリア公アルブレヒト2世と結婚したことで、ハプスブルク家の勢力拡大に大きく貢献した女性です。フランス語名ではジャンヌ・ド・フェレットとして知られています。

生涯

ヨハンナは、フェレット伯ウルリシュ3世と、モンベリアル伯ルノーの娘ジャンヌの間に生まれました。1324年、父ウルリシュ3世が男子相続人を残さずに亡くなると、ヨハンナは妹ウルスラと共に、ズントガウ、ヴォージュ山岳地帯南部、ベルフォール峡谷、ジュラ地方北端部など、広大な領地を受け継ぎました。

ハプスブルク家のオーストリア公レオポルト1世は、この機会を逃さず、ウルリシュ3世の未亡人ジャンヌと交渉し、ヨハンナと自身の弟アルブレヒト2世との縁談をまとめました。妹ウルスラは、金銭的補償と引き換えにフェレット伯領の相続権を放棄。1324年3月17日、タンでアルブレヒト2世との結婚契約が結ばれ、ヨハンナはハプスブルク家にアルザスにおける重要な所領をもたらすことになりました。

1324年3月26日、ヨハンナはウィーンでアルブレヒト2世と結婚しました。しかし、結婚生活は当初、困難を伴いました。アルブレヒト2世は1330年に多発性関節炎を発症し、体が不自由になります。また、ヨハンナは結婚後15年間、子供を授かることができず、夫婦関係は不幸なものと見られていました。しかし、1337年にアルブレヒト2世が聖遺物の安置されたケルンとアーヘンへ巡礼に出かけた後、1339年11月1日、ヨハンナは39歳という高齢で長男ルドルフを出産。その後も、5人の子供をもうけました。

ヨハンナは、賢明で思慮深い女性であり、政治的な才能にも優れていました。夫アルブレヒト2世が病で不自由な中、ヨハンナは代わりに外交交渉に出向くなど、ハプスブルク家の勢力拡大に大きく貢献しました。1336年には、ハプスブルク家とルクセンブルク家との間で和平協定を結ぶことに成功し、ハプスブルク家が後にアドリア海まで勢力を伸張させる基盤を築きました。1347年にオーバーエスターライヒのゼーフェルトで開かれた諸侯の集いでは、神聖ローマ皇帝カール4世がアルブレヒト2世とその息子たちをオーストリア、シュタイアーマルク、ケルンテン、クラインなどに封じました。

アルブレヒト2世が家門の勢力伸長のためにアクイレイア総大司教座と対立した際には、ヨハンナが総大司教との外交交渉を行い、同盟関係を築き、アルブレヒト2世はケルンテンなどの領主権を確立しました。

1351年、ヨハンナは末息子のレオポルトを出産した際に51歳で亡くなりました。彼女の遺骸は、夫が設立したガミンク修道院に埋葬されました。

子女

ルドルフ4世（1339年 - 1365年）
カタリーナ（1342年 - 1381年） - 修道女
マルガレーテ（1342年 - 1366年） - チロル伯マインハルト3世と結婚、後にモラヴィア辺境伯ヨハン・ハインリヒと再婚
フリードリヒ3世（1347年 - 1362年）
アルブレヒト3世（1349年 - 1395年）
レオポルト3世（1351年 - 1386年）

ヨハンナ・フォン・プフィルトは、領地の相続、結婚、外交手腕を通じて、ハプスブルク家の勢力拡大に大きく貢献した女性として、歴史に名を残しています。

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