ヨハン・ゲオルク2世 (ザクセン選帝侯)

ヨハン・ゲオルク2世：文化と財政の狭間で揺れたザクセン選帝侯

ヨハン・ゲオルク2世（1613年6月10日 - 1680年8月22日）は、ザクセン選帝侯として、三十年戦争後の領地の復興と、華麗なバロック文化の隆盛という二つの大きな課題に直面しました。父ヨハン・ゲオルク1世の跡を継ぎ、選帝侯となった彼は、政治手腕を発揮する一方で、芸術への深い愛情を注ぎ込みました。

領土の再建と外交

1656年に選帝侯となると、ヨハン・ゲオルク2世はまず、領内の安定を図るため、3人の弟たちに領土を分与しました。そして、三十年戦争によって疲弊した経済の再建に着手し、織物やガラスの工場を設立、炭鉱や銀鉱の開発を推進しました。しかし、外交面では、フランス王ルイ14世からの資金援助を受けていたため、親フランス政策を採らざるを得ませんでした。このことが、領内における反フランス感情を高め、神聖ローマ皇帝レオポルト1世への接近を求める声を生むこととなりました。

芸術への傾倒と財政破綻

ヨハン・ゲオルク2世の関心は、政治や外交よりもむしろ音楽や芸術にありました。ルイ14世の宮廷文化に憧れ、ドレスデンに大規模なバロック様式の宮殿、庭園、オペラ劇場などを建設し、国内外から多くの音楽家や芸術家を招きました。この贅を尽くした宮廷文化は、ドレスデンをバロック文化の中心地へと押し上げる一方で、莫大な財政負担を生み出しました。1660年には早くも財政破綻が発生し、彼の死後には多額の負債が残されることとなりました。

家族と後継

1638年、ヨハン・ゲオルク2世はブランデンブルク＝バイロイト辺境伯クリスティアンの娘マグダレーナ・ジビュレと結婚し、一男二女をもうけました。娘の一人、エルトムーテ・ゾフィーはブランデンブルク＝バイロイト辺境伯クリスティアン・エルンスト妃となり、息子ヨハン・ゲオルク3世は父の後を継いでザクセン選帝侯となりました。

ヨハン・ゲオルク2世は、1680年8月22日にフライベルクで死去し、フライベルク大聖堂に埋葬されました。彼の治世は、経済再建と文化振興という二つの側面を持ちながら、その財政的な歪みが大きな課題として残されました。しかし、彼が築き上げたバロック文化は、後のザクセンに大きな影響を与え、ドレスデンの文化的アイデンティティを形成する上で重要な役割を果たしました。

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