ヨリトフグ

ヨリトフグ (Sphoeroides pachygaster)

ヨリトフグは、フグ目フグ科に属する海水魚であり、体長は約30cmほどに成長します。この魚は温暖な海域に広く分布しており、日本国内では太平洋側の千葉県以南と、日本海側の富山県以南で見られます。特に神奈川県の小田原では「カワフグ」や「デデフグ」、静岡県の沼津や大分県の大分市では「ミズフグ」、さらに愛知県の蒲郡市や西尾市では「チョウチンフグ」とも呼ばれています。

分布と生息環境

ヨリトフグは、主に水深100メートルから500メートルの範囲にある大陸棚縁辺部に生息しています。体の表面には無数の細い線があり、その特徴的な外見からも他のフグと簡単に区別できるでしょう。温暖な海に広く生息しているため、漁業の対象となることも少なくありません。

人との関わり

この魚は食用として漁獲されることがあるものの、実際の漁獲量はあまり多くありません。その理由の一つは、釣りの際にヨリトフグが発生させる特有の行動です。釣り上げられると、この魚は海水を大量に吸い込み、糸がねじれることで釣り人にとっては扱いづらくなる傾向があります。味の面でも、他のフグに比べて劣るとされているため、あまり好まれないことが多いのです。

一方で、ヨリトフグの身や皮、精巣は食材として消費されることがあります。特に伊豆半島周辺では、これらを使ったみそ汁が作られることもあり、地域によっては以前から食用として扱われてきました。しかし、長い間無毒と考えられていたこの魚の肝臓からは、毒が検出されたことがあるため、注意が必要です。厚生労働省もこの魚の肝臓を可食部位として認めておらず、その販売は禁止されています。また、卵巣も有毒である可能性があるため、食べる際には慎重になるべきです。

2018年には愛知県蒲郡市のスーパーマーケットで、肝臓を含む切り身が販売される事態が発生し、その後県が立ち入り調査を行うという報道もありました。このように、ヨリトフグに関する情報は慎重に確認する必要があります。

まとめ

ヨリトフグは、独特な生態を持つ海水魚で、地域ごとに様々な呼び名があることからもその多様性がうかがえます。他のフグとは異なり、あまり好まれないこともありますが、地域によっては食用としての利用もあるため、その扱いには注意を要する魚です。今後も、興味深い生態や分布についての研究が進むことが期待されます。

もう一度検索