ヨーゼフ・アウグスト・フォン・エスターライヒ

ヨーゼフ・アウグスト・フォン・エスターライヒ

ヨーゼフ・アウグスト・フォン・エスターライヒ（Joseph August von Österreich, 1872年8月9日 - 1962年7月6日）は、ハプスブルク＝ロートリンゲン家の一員であり、オーストリア大公の地位を有していました。彼はまた、ハンガリー宮中伯ヨーゼフ・アントン大公の孫でもあります。ハンガリー名としては、ハブスブルグ＝ロタリンギアイ・ヨージェフ・アーゴシュト（Habsburg–Lotaringiai József Ágost）として知られています。ヨーゼフ・アウグストは、オーストリア＝ハンガリー軍の元帥であり、その階級の人物としては最後まで存命していました。

生涯

ヨーゼフ・アウグストは、ヨーゼフ・カール大公の長男として、ハンガリーのアルチュートドボズで生まれました。彼の母は、ザクセン＝コーブルク＝ゴータ家の公子アウグストの娘であり、ブルガリア王フェルディナントの姉であるクロティルデです。

1893年、ヨーゼフ・アウグストはバイエルン王子レオポルトの娘、アウグステ・マリア・ルイーゼと結婚しました。アウグステの母ギーゼラは、ヨーゼフ・アウグストの再従兄にあたる皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の次女であったため、ヨーゼフ・アウグストは皇帝の孫娘の婿という関係になりました。

1890年、ヨーゼフ・アウグストは第1歩兵連隊の中尉として軍人としてのキャリアをスタートさせ、1908年には将官に昇進、1911年には元帥に任じられました。第一次世界大戦が勃発すると、彼はガリツィア戦線で第7軍団の指揮を執りました。その後、対イタリア前線に移動し、ロシア軍とルーマニア軍に対抗するためにトランシルヴァニアへと転戦しました。

第一次世界大戦後、オーストリア＝ハンガリー帝国が解体され、ハンガリーではソビエト政府がハンガリー国民軍によって倒されました。その後、ヨーゼフ・アウグストは新たなハンガリー王国の国王に擁立されました。しかし、ハプスブルク＝ロートリンゲン家の一員であるヨーゼフ・アウグストの即位は、協商国やルーマニアの承認を得られず、この「王国」はホルティ・ミクローシュを摂政として、国王が空位のまま成立することになりました。

1936年から1944年まで、ヨーゼフ・アウグストはハンガリー科学アカデミーの会長を務めました。1944年にホルティ・ミクローシュが失脚すると、彼はアメリカ合衆国へ逃れました。

戦後の1946年、ヨーゼフ・アウグストは姉のトゥルン・ウント・タクシス侯妃マルガレーテ・クレメンティーネを頼って西ドイツのバイエルン州に移り住み、1962年に同地で亡くなりました。

家族

アウグステ・マリア・ルイーゼ妃との間には、以下の6人の子供が生まれました。

ヨーゼフ・フランツ（1895年 - 1957年）
ギーゼラ・アウグステ（1897年 - 1901年）
ゾフィー・クレメンティーネ（1899年 - 1978年）
ラディスラウス・ルイトポルト（1901年 - 1946年）
マティアス・ヨーゼフ（1904年 - 1905年）
マグダレーナ・マリア（1909年 - 2000年）

ヨーゼフ・アウグストは、激動の時代を生きた人物であり、軍人、政治家、そして学者として、多岐にわたる分野で足跡を残しました。

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