ヨープ・ズートメルク

ヨープ・ズートメルク（Gerardus Joseph Zoetemelk, 1946年12月3日 - ）は、オランダ出身の元プロ自転車ロードレース選手です。

1968年のメキシコシティオリンピックでは、ロードチームタイムトライアルでオランダ代表として金メダルを獲得し、その翌年にプロへ転向しました。1970年のツール・ド・フランスでは、初出場ながらもエディ・メルクスに次ぐ総合2位という好成績を収め、その才能を世界に示しました。

しかし、当時の自転車ロードレース界は、エディ・メルクスやベルナール・イノーといった強豪選手がしのぎを削る時代であり、ズートメルクは彼らの厚い壁に阻まれることが多くありました。特に、ツール・ド・フランスでは総合2位を6回も経験したことから、「万年2位」という不名誉な称号で呼ばれることもありました。

さらに、1974年にはレース中の事故による大怪我に見舞われ、選手生命の危機に立たされたり、1977年と1979年のツール・ド・フランスではドーピング検査で陽性反応が出たりするなど、数々の苦難に見舞われました（当時は現在と異なり、区間記録は取り消されるものの、総合記録には完走時間記録に10分間のペナルティが課されるのみでした）。

しかし、ズートメルクは決して諦めませんでした。1980年のツール・ド・フランスでは、ライバルであるベルナール・イノーのリタイアという幸運にも恵まれましたが、10回目の出場にしてついに悲願の総合初優勝を果たしました。その後も、38歳で世界自転車選手権（1985年）を制し、40歳でアムステルゴールドレース（1987年）を制するなど、1987年に引退するまで、長期間にわたって第一線で活躍を続けました。

また、1979年にはブエルタ・ア・エスパーニャでも総合優勝を果たしているほか、数多くのステージレースやクラシックレースで勝利を飾っています。ツール・ド・フランスには16回出場し、16回完走という記録は大会記録となっています。

引退後は、1996年から2006年のブエルタ・ア・エスパーニャまで、ラボバンクチームの監督を務めました。

主な戦績

1968（アマチュア時代）
メキシコオリンピックロードチームタイムトライアル優勝
1969
ツール・ド・ラブニール総合優勝
1970
ツール・ド・フランス総合2位
1971
ツール・ド・フランス総合2位
ブエルタ・ア・エスパーニャ: 山岳賞
オランダ国内選手権優勝
1972
ツール・ド・フランス総合5位
1973
ツール・ド・フランス総合4位
オランダ国内選手権優勝
1974
パリ〜ニース総合優勝
ツール・ド・ロマンディ総合優勝
1975
ツール・ド・フランス総合4位
パリ〜ニース総合優勝
1976
ツール・ド・フランス総合2位
フレッシュ・ワロンヌ優勝
1977
ツール・ド・フランス総合8位
パリ〜ツール優勝
1978
ツール・ド・フランス総合2位
1979
ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝
ツール・ド・フランス総合2位
パリ〜ニース総合優勝
パリ〜ツール優勝
クリテリウム・アンテルナシオナル総合優勝
1980
ツール・ド・フランス総合優勝
1981
ツール・ド・フランス総合4位
1982
ツール・ド・フランス総合2位
1985
世界自転車選手権優勝
ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝
1987
アムステルゴールドレース優勝
その他
オランダ スポーツマンオブザイヤー2回受賞（1980年、1985年）

外部リンク

ヨープ・ズートメルク - サイクリングアーカイヴス（英語）
ヨープ・ズートメルク - Olympedia（英語）

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