ライオンソフター

ライオンソフターは、ライオン株式会社（旧ライオン油脂）が1966年6月から1976年9月まで家庭向けに販売していた衣類用柔軟剤です。現在では、ライオンハイジーンを通じて業務用製品として販売が継続されています。

誕生の背景

日本で初めての衣類用柔軟仕上げ剤は、1962年に花王（現花王グループカスタマーマーケティング）から発売された「花王ソフター」でした。これに対抗し、ライオンも1966年に柔軟剤市場に参入。「ライオンブリーチ」（塩素系漂白剤）、「ライオンハイスターチ」（液体洗濯糊）と合わせて、「仕上げ剤トリオ」として同時発売されました。

ライオンソフターの登場により、花王は類似商号対策として、発売からわずか1ヶ月後の1966年7月に「花王ソフター」を「ハミング」と改名して再発売するという対抗措置を取りました。

ライオンソフターの容器は、白いキャップと青いボトルで、容量はハミングとほぼ同じでした。しかし、ラベルデザインには花王への対抗意識が強く表れており、「ライオン」の文字が過剰に強調される一方で、「ソフター」の文字は小さく控えめでした。

宣伝戦略と人気

ライオンは宣伝に力を入れ、提供番組のCMを積極的に展開しました。フジテレビのワイドショー『3時のあなた』ではCMが放映されたほか、PRコーナーでは使い方の実演も行われました。「ケンちゃんシリーズ」でもライオンがスポンサーとなり、ハミガキのCMと並んでライオンソフターのCMが頻繁に放映され、一時期は人気を博しました。その他、「ライオン奥様劇場」や『8時だョ!全員集合』など、ライオンがスポンサーを務める人気番組でもCMが多数放映されました。

ソフランSへの切り替え

一時は人気があったライオンソフターですが、競合製品である花王の「ハミング」には及ばず、類似商号の商品も登場する中で、1976年10月に「ソフランS」へと切り替えられました。このリニューアルは単なる名称変更に留まらず、柔軟剤としては初めてピンク色を採用するなど、新製品であることを強くアピールしました。

これに先立ち、同年には塩素系漂白剤が「ブライト」として再発売されるなど、商品名の大幅な見直しが行われた時期でもありました。同時に、新しい仕上げ剤トリオとして液体洗濯糊「カインド」が発売されました。

ライオンソフターのラベルデザインにおける「ライオン」の文字の過剰な強調は、かえって逆効果だったのではないかという指摘もあります。

その後

1982年夏には、ライオンからブルーの柔軟剤「レディーナ」が発売されました。この製品はラベルがライオンソフターと酷似しており、ライオンソフターの復活を彷彿とさせました。スケルトンボトルを採用し、おしゃれな印象を打ち出していました。当初は特大ボトルが主力でしたが、後に通常サイズも発売されました。

業務用製品としての販売

「ライオンソフター」は現在、ライオンハイジーンを通じて業務用製品として販売されています。業務用のライオンソフターは、「ライオン」の文字を小さく、「ソフター」の文字を大きく表示しています。中身は「ソフランS」と同一であり、4Lボトルと10Lバッグインボックスの2種類がラインナップされています。4Lボトルは一部のホームセンターやECサイトでも取り扱われているため、一般消費者も入手可能です。

2020年3月には、「ライオンソフター」の2倍濃縮タイプである「ライオンソフターEX」が発売されました。本品は英語表記との2カ国語表記となっており、2Lと5Lのボトルで展開されています（5Lボトルは減容対応容器）。

柔軟剤原料としての「ライオンソフター」

アクゾとの合弁会社であるライオン・アクゾが製造・販売する繊維用柔軟剤基剤のエステル型第4級アンモニウム塩も、「ライオンソフター」という商品名で販売されています。

関連項目

* ライオン製品一覧

もう一度検索