ライク・ア・プレイヤー

アルバム『ライク・ア・プレイヤー』の概要

1989年にリリースされたマドンナの4枚目のスタジオ・アルバム『ライク・ア・プレイヤー』は、彼女のキャリアにおいて重要な意味を持つ作品です。このアルバムは、彼女の音楽スタイルや私生活における変遷を色濃く映し出しています。1980年代の終わりに、アメリカの音楽シーンは大きな変革を迎えており、ヒップホップの浮上やヘヴィメタルの流行が影響を与えていました。そんな中、マドンナは新たなサウンドを模索し、ポップやロックだけでなく、ゴスペルやリズム・アンド・ブルースの要素を取り入れることで、より多様性に富んだ作品を作り上げました。

アルバムの背景

当時、マドンナは俳優のショーン・ペンとの4年間の結婚生活に終止符を打つこととなり、その影響が彼女の音楽にも表れています。激しい気性を持つショーンとの関係は、メディアの注目を集め、プライバシーの侵害が続いていました。こうした苦境の中で制作された『ライク・ア・プレイヤー』は、彼女の内面的な葛藤や感情を反映した告白的なアルバムです。特に「デス・ドゥ・アス・パート」では、痛烈な歌詞が当時の結婚生活の様子を描いています。

加えて、マドンナのルーツであるカトリック教会への批判や結婚制度への疑問も表現されており、その中で彼女の権威に対する反抗心が強く表れています。また、「オー・ファーザー」では父親との複雑な関係を扱い、「プロミス・トゥ・トライ」では亡き母への思いを初めて歌い上げています。これらの楽曲は、マドンナの個人的な歴史や感情を背景にした深いメッセージを持っています。

アルバムの制作

プロデューサーには、前作『トゥルー・ブルー』に続いてパトリック・レナードとステファン・ブレイが起用され、外部のソング・ライターを起用せずに全曲を共同制作しました。このことにより、アルバムは彼女自身の私的な体験を色濃く反映した親密なものとなりました。特に「チェリッシュ」は、彼女のお気に入りの楽曲として知られています。バック・ヴォーカルには、ドナ・デロリーやニキ・ハリスの他にも、ゴスペル界のアンドレ・クラウチ聖歌隊が参加し、アルバムはよりソウルフルなサウンドを実現しています。

商業的成功と評価

『ライク・ア・プレイヤー』は、1989年3月21日のリリース以降、ビルボード・チャートで6週連続1位を獲得し、年末には「トップ・ポップ・アーティスト・オブ・ザ・ディケイド」に輝くなど、彼女の地位を確立しました。日本でも大ヒットを記録し、ゴールドディスク大賞やグランプリ・アルバム賞を受賞。さらに、『ローリング・ストーン誌』の「オールタイム・ベストアルバム500」では239位にランクインしました。

初回プレス盤の特典

初回プレスの特典として、当時の全フォーマットのブックレットにマドンナが特製したパチョリ香水の香りが施されており、今もなおその香りは保たれています。ライナーノーツにはエイズに関する事実が掲載されており、これが彼女のアーティストとしての初めての試みでもありました。

このように、アルバム『ライク・ア・プレイヤー』は音楽的にだけでなく、マドンナの個人的な成長や変化をも示す重要な作品として、今なお多くのファンに愛されています。

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