ライダイハン

ライダイハンとは

ライダイハン（越: Lai Đại Hàn、朝: 라이따이한）は、ベトナム戦争で韓国軍の兵士や南ベトナムで働いていた韓国人労働者と、ベトナム人女性との間に生まれた混血児を指す言葉です。これらの子どもたちは、父との関係が希薄であり、父親の扶養を受けることなく、ベトナムに置き去りにされました。

「ライ」はベトナム語で「混血」を意味し、「ダイハン」は「大韓」のベトナム語読みです。ただし、「ライダイハン」という用語は、ベトナムの公式文書にはあまり見られません。一方、韓国ではこの言葉が借用語として用いられ、「ライタイハン」とも呼ばれます。さらに、彼らは「韓国系ベトナム人」としても知られています。

数と現状

ライダイハンの人数は正確には把握されていませんが、最小でも5千人から最大で3万人が推定されています。韓国政府やベトナム政府による調査が行われず、放置されることにより被害者の正確な数を明らかにすることができないという声もあります。

ライダイハンたちは、敵国の子として差別や貧困に苦しみ、母親もまた、敵国との関わりを理由に財産の没収や投獄などの迫害を受けてきました。また、ライダイハンの中には、父親の記憶が全くない者や、朝鮮語を話せない者もいます。そのため、ライダイハンの支援を求める声が高まっています。

一部のライダイハンは、韓国で労働者として働きながら父親の足跡を追っているものの、親子関係を認められることは稀で、実際の認知訴訟も難航しています。

韓国国内の動き

韓国国内では、ライダイハンを支援する団体や韓国軍の行為を批判するグループが活動しています。2019年には、慰安婦問題に取り組む「正義連」が韓国政府の消極的な姿勢に抗議の声を上げました。父親の認知をもとに韓国国籍を取得する動きが存在しましたが、現在は成人の場合、国籍取得が難しくなっています。

韓国の民間団体やキリスト教団体の支援により、職業訓練学校が設立され、ライダイハンに無償の職業訓練や朝鮮語教育が行われていますが、その支援は主にベトナム国民に焦点が当てられています。さらに法改正前には、ライダイハン自身が親子関係を証明する訴訟を起こすことがありました。

ベトナム政府の対応

ベトナムの政府は、韓国に対して控えめな批判を行っています。友好関係を維持するため、謝罪や責任の要求は避けている姿勢が見られます。村山康文によれば、経済関係を重視するために国内の動きを抑圧しているとされています。特に、南北戦争に関する犯罪や弾圧に対する批判を避ける傾向があります。文大統領が謝罪しようとした際も、ベトナム政府の反対により実現しませんでした。

国際的な動き

2017年には、イギリスで「ライダイハンのための正義」という市民団体が設立されました。この団体は、韓国軍がベトナムの女性に行った性的暴力を広く知らしめる活動を行っています。設立イベントには英国の著名な政治家やジャーナリストも参加し、ベトナム戦争における韓国軍の行為についての証言を集めています。

また、ライダイハンに対する支援や名誉回復を求める動きが国際的に広がっています。

まとめ

ライダイハンは、ベトナム戦争という歴史的背景の中で生まれた子どもたちであり、現在もなお差別や貧困に直面しています。彼らに対する理解と支援は、国だけでなく国際的な視点でも重要な課題となっているのです。

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