ライフ・オブ・ブライアン

ライフ・オブ・ブライアン（Monty Python's Life of Brian）

『ライフ・オブ・ブライアン』は、1979年に公開されたモンティ・パイソンによるイギリス映画です。グレアム・チャップマン演じるブライアンは、イエス・キリストと同時期に生きたばかりに、救世主と間違われる騒動に巻き込まれます。宗教的なテーマを扱ったため、公開当時は世界中で賛否両論を呼び、上映禁止となる地域もありましたが、興行的には成功を収めました。特に映画の終盤で歌われる「Always Look on the Bright Side of Life」は、今日に至るまでイギリスの代表的なポピュラーソングとして広く親しまれています。

あらすじ

物語の舞台は西暦33年のエルサレム。ローマ帝国の圧政下、イエス・キリストが誕生したまさにその日、隣の家でブライアン（グレアム・チャップマン）は産声を上げます。東方の三賢者は、誤ってブライアンを救世主と間違えそうになります。口うるさい母親マンディ（テリー・ジョーンズ）と暮らすブライアンは、ある日、自分がユダヤ人ではなくローマ兵の息子であることを知ります。怒った彼は、レッジ（ジョン・クリーズ）率いる過激派組織「ユダヤ解放戦線」に加わり、ローマ帝国への復讐を誓います。

しかし、総督ピラト（マイケル・ペイリン）の妻の誘拐計画は失敗に終わり、ブライアンはただ一人逃亡を余儀なくされます。危険人物として追われる身となった彼は、ローマ兵の目を欺くため、教祖のふりをして群衆に説教を試みます。ところが、民衆は彼を本物の救世主だと勘違いし、ブライアンは必死に否定するも、信者は増え続けるばかり。解放戦線のメンバー、ジュディス（スー・ジョーンズ＝デイビス）と一夜を共にした翌朝、彼の家の前には大群衆が待ち構えていました。

騒動の中、ついに捕らえられたブライアンは、磔刑に処されます。仲間たちや母親に見捨てられ絶望する彼に、磔にされていた男（エリック・アイドル）が「Always Look on the Bright Side of Life（人生の明るい面を見よう）」と歌いかけます。すると、周りの受刑者たちも合唱を始め、絶望的な状況にも関わらず、希望を捨てずに生きることの素晴らしさを高らかに歌い上げます。

制作の背景

本作のアイデアは、1976年の映画『ホーリー・グレイル』のプロモーション中に生まれました。エリック・アイドルが冗談で『イエス・キリスト：栄光への欲望』というタイトルを提案したことがきっかけとなり、モンティ・パイソンはイエス・キリストの生涯を題材にした作品を構想し始めます。しかし、イエス・キリスト本人をパロディ化することは難しいと判断し、ブライアンという架空の人物を主人公に据えることにしました。

当初、ブライアンは13番目の使徒という設定で、キリストの奇跡をいつも見逃してしまうという物語でしたが、モンティ・パイソンは映画のテーマをキリスト教そのものではなく、大衆の宗教に対する価値観や権威を笑いの対象とすることに定めました。

脚本制作には1年の歳月を費やし、撮影は1978年4月に開始される予定でしたが、出資元のEMIが、映画の内容を問題視し、出資を撤回してしまいます。しかし、ビートルズの元メンバー、ジョージ・ハリスンが自身の会社を通じて資金を提供し、映画製作は再開されることになりました。

テリー・ジョーンズが監督を務め、テリー・ギリアムがプロダクション・デザイナーを担当。ジョン・クリーズはブライアン役を熱望しましたが、グレアム・チャップマンがその役を演じることになりました。完成した映画は2時間を超えていましたが、パイソンズは慎重に編集を重ね、最終的な形に仕上げました。

論争と評価

映画公開後、宗教団体からの激しい批判や上映禁止が相次ぎましたが、その一方で、映画を支持する人々も多く、興行的には成功を収めました。特に、BBCの討論番組でジョン・クリーズとマイケル・ペイリンが宗教家と激しい議論を交わしたことは、大きな話題となりました。

『ライフ・オブ・ブライアン』は、宗教的なテーマを扱った作品として、様々な解釈がなされています。組織化された宗教への痛烈な批判であるとする意見もあれば、単なるコメディとして楽しむべきだとする意見もあります。

その他の情報

2004年には、メル・ギブソンの映画『パッション』の公開に対抗する形で、アメリカで再公開されました。
日本では、DVDやBlu-rayが発売されています。
* 本作を元にしたコメディ・オラトリオや、映画製作の裏側を描いたドラマも制作されています。

『ライフ・オブ・ブライアン』は、モンティ・パイソンの代表作として、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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