ライム・グローブ・スタジオ

ライム・グローブ・スタジオの歴史

ライム・グローブ・スタジオは、ロンドンのシェパーズ・ブッシュに位置していた撮影スタジオで、映画やテレビの制作において重要な役割を果たしました。1915年、フランスの映画会社ゴーモンがこの地にスタジオを設立し、イギリスにおける映画制作の専用施設として注目を集めました。このスタジオは、その後の数十年にわたって、数々のヒット作品を生み出す場となります。

ゴーモン・ブリティッシュ映画社の台頭

1922年、イシドア・オストラーがゴーモン・ブリティッシュの経営権を取得し、同スタジオは彼の指導のもとで革新を迎えました。1932年には大規模な改修工事が行われ、最新の設備を備えたスタジオが誕生しました。この新しいスタジオで初めて制作された映画は、ウォルター・フォード監督による『南欧横断列車510（Rome Express）』です。この作品は、イギリスのトーキー映画としてアメリカでも高評価を得、商業的にも成功を収めました。

ライム・グローブ・スタジオはその後もゴーモン・ブリティッシュの下で繁栄し、多数の映画作品が制作されました。しかし、1941年にランク・オーガニゼーションに買収されると、「イーリング・コメディ」として知られる多数のコメディ映画の撮影にも使用されるようになります。1945年には、映画『妖婦（The Wicked Lady）』が同スタジオで撮影されるなど、制作は続きました。

BBCへの転換

1949年、BBCはこのスタジオを買い取ることになりました。新たに設立されるBBCテレビジョンセンターが稼働するまでの「当面の措置」として、ライム・グローブ・スタジオはテレビ放送用に改修され、1950年からは多くのテレビ番組が制作されました。42年間にわたって、多彩な番組がここで制作され、特に『ドクター・フー』や『トップ・オブ・ザ・ポップス』などは広く知られるようになりました。

また、ザ・ビートルズとも深い関わりがあり、彼らの全国放送デビュー番組『The 625 Show』の収録もこのスタジオで行われました。

スタジオの閉鎖と後の展開

1991年、BBCは制作機能をBBCテレビジョンセンターに集約し、ライム・グローブ・スタジオは閉鎖されました。最後の生放送は同年6月に行われ、その後、スタジオの歴史を振り返る特別番組『The Lime Grove Story』が放送されました。スタジオが閉鎖されてからは、跡地は開発事業者により再開発され、集合住宅が建設されました。

開発された地域には、かつてのスタジオの名を冠した通りが作られ、ゴーモン・テラスやゲインズボロ・コートなどが名付けられました。こうして、ライム・グローブ・スタジオはその歴史を終えることとなりますが、依然として数多くの映画やテレビ番組の制作に貢献した重要な施設として記憶され続けています。

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