ライラトルカドル

ライラトルカドル（力の夜）

ライラトルカドル（アラビア語：لیلة القدر）は、イスラム教において特別な意味を持つ夜です。この夜はコーランが初めて神から預言者ムハンマドに授けられたとされ、深い宗教的な重要性を担っています。

名前の由来

「カドル」という言葉はアラビア語で「価値」や「限界」を意味し、さまざまな解釈があります。

1. 運命の定め: 人々の運命がこの夜に神によって決定されるため、おそらく「アルカドル」と名付けられたと考えられています。
2. 夜の価値: この夜が非常に重要であるため「アルカドル」と呼ばれるようになったとも言われています。
3. 他の名称: この夜には「ライラトルアザマ（偉大な夜）」や「ライラトシュシャラフ（名誉の夜）」といった別名もあります。

啓示の瞬間

イスラム教徒の間では、コーランがムハンマドに与えられた瞬間が特に注目されています。一部の学者は、この啓示が次の二つの時期に分かれると考えています。

1. 最初の啓示: 西暦610年、ヒラー洞窟で得られた初めての啓示。
2. その後の啓示: 次の23年間にわたって、メッカ及びメディナで続けて受けた啓示。

預言者ムハンマドは、ラマダンの最後の10日間の中でこの特別な夜を待ち続け、夜通しの断食と祈りに励み、私生活では性交を控えることを命じました。信徒たちにもこの夜の重要性を伝え、信仰と報奨を求めて祈ることで過去の罪が許されるとの教えが残されています（Sahih al-Bukhari 1901）。

日付の不明瞭さ

ライラトルカドルの日付はコーランには具体的に明記されていません。ムハンマドは夢の中で神からその日付を知りましたが、仲間の間での口論が原因でその日付を忘れさせられたとされています。

スンニ派の信念

スンニ派の信徒たちは、ラマダンの最後の10日間の中で特に奇数の日（21、23、25、27、29日）のいずれかがライラトルカドルであると信じています。一部の学者は、これらの奇数日の中で金曜日の夜がライラトルカドルの可能性が高いと考えています。

まとめ

ライラトルカドルはただの夜ではなく、イスラム教徒にとって心の祈りと反省を促す特別な時期です。信徒にとっては、この夜を通じて神に近づく貴重な機会であり、自らの信仰を確かめる重要な瞬間となります。

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