ライン川戦役 (1713年)

1713年のライン川戦役

1713年のライン川戦役は、スペイン継承戦争の余波を受けて、フランス王国と神聖ローマ帝国の間で勃発した戦いです。ユトレヒト条約締結後も帝国が条約への署名を拒否したため、戦火は継続されました。この戦役での帝国の敗北が、翌年のラシュタット条約締結へと繋がります。

背景

1713年4月11日、スペイン継承戦争の主要参戦国であるスペイン、フランス、イギリス、ポルトガル、サヴォイア、オランダはユトレヒト条約を締結し、和平への道筋をつけました。しかし、ハプスブルク帝国および神聖ローマ帝国は条約への署名を拒否し、フランスとの戦争は依然として続きました。

経過

両国ともに疲弊の色が濃い状況でしたが、フランスはクロード・ルイ・エクトル・ド・ヴィラール元帥の指揮のもと、騎兵300個大隊と歩兵240個大隊からなる軍を編成しました。一方、帝国側のプリンツ・オイゲンは、全軍をスペイン領ネーデルラントからアッパーライン地方へ移動させ、ドイツ諸侯との連携を図りました。しかし、イギリスとオランダからの援助金が和平によって停止されたため、帝国軍は大幅に弱体化し、ドイツ諸侯との合流後も、プリンツ・オイゲンの軍勢は騎兵115個大隊と歩兵85個大隊にとどまり、フランス軍の約3分の1の規模でした。

1713年6月、フランス軍はライン川を渡河し、攻勢を開始しました。6月24日には、ジャック・バザン・ド・ブゾンがランダウの包囲を開始。ヴュルテンベルク公カール・アレクサンダーが守備するランダウは、8月26日まで持ちこたえましたが、ついに降伏しました。また、アーサー・ディロンもカイザースラウテルンを占領しました。ヴィラールはさらに進軍し、9月20日にはフライブルクを包囲。フライブルクの市街は10月15日に、城塞は11月17日に降伏しました。プリンツ・オイゲンは、戦力差から会戦に挑むことができず、これらの侵攻を傍観するしかありませんでした。

ラシュタット条約

フランス王ルイ14世は、戦況が有利に進んだことを受け、帝国に交渉を呼びかけました。帝国もこれに応じ、ヴィラールとオイゲンはバーデン＝バーデン辺境伯領のラシュタットで会談しました。交渉の結果、1714年3月7日にラシュタット条約が締結され、スペイン継承戦争はここに終結しました。

この戦役は、長きにわたる戦争の終結を決定づける重要な局面となりました。フランスの勝利は、ヨーロッパの勢力均衡に大きな影響を与え、その後の国際関係に深い影を落としました。

参考文献

THE WAR OF THE SPANISH SUCCESSION, CAMPAIGNS AND NEGOTIATIONS, By C. T. ATKINSON, M.A, pag. 435
Les Bourbons. LES TRAITES DE RASTATT ET DE BADEN METTENT UN POINT FINAL A LA GUERRE DE SUCCESSION D'ESPAGNE

もう一度検索