ラシャーヌ!

『ラシャーヌ!』とは

『ラシャーヌ!』は、魔夜峰央による日本の漫画作品で、1978年から1989年にかけて白泉社の複数の漫画雑誌に不定期に掲載されました。作者である魔夜峰央が、怪奇漫画からギャグ漫画路線へと転身する初期の作品であり、後のヒット作『パタリロ!』と並行して発表されました。

概要

物語は、インドに住む美少年ラシャーヌが、その破壊的な性格と異常なまでの惚れっぽさで周囲を巻き込み、騒動を起こすというコメディです。毎話、ラシャーヌは恋に落ちてはフラれるという展開が繰り返されます。掲載誌が一定でなかったため、厳密には連載とは言えませんが、基本的には短編連作の形式を取っており、キャラクターを把握していれば、シリーズの前後関係を気にせずに楽しめます。

作者によると、当初はシリアスな復讐劇として構想されていたものの、笠太郎の漫画に影響を受け、コメディ路線へと大きく変更されたとのことです。その結果、第1話『カイヌンの眼』は、コメディとしてわずか10分でストーリーが完成したというエピソードが残っています。

また、本編から7年後を描いた番外編『PaPaラシャーヌ!』では、結婚して父親になったラシャーヌと息子の日常が描かれています。

『パタリロ!』との関連

『ラシャーヌ!』は、作者の代表作『パタリロ!』とのクロスオーバーも行われています。ラシャーヌ自身が『パタリロ!』にゲスト出演したり、本作中に『パタリロ!』のキャラクターが登場することもあります。花とゆめ1980年11号では、本作のエピソードと『パタリロ!』のあるエピソードがストーリーを共有し、互いのキャラクターが登場するという試みも行われました。

主人公ラシャーヌの容貌と性格を受け継いだキャラクターが、別作品『クレプスキュール -逢魔が刻-』・『トワイライト -大禍刻-』にも登場しています。

2014年には、22年ぶりとなる描き下ろし作品『パタリロとラシャーヌがパリでランデブー』が発表され、2023年にはデビュー50周年を記念した愛蔵版が刊行されました。愛蔵版では、雑誌掲載時のカラーが再現され、未収録のイラストやインタビューなども収録されています。

主要な登場人物

ラシャーヌ: 主人公。貿易商の息子で、いたずら好きで惚れっぽい美少年。
ハッサン: ラシャーヌの父親。いたずらの標的にされがち。
おじ様: ハッサンの弟で、ラシャーヌの叔父。拳法の達人。
ばあや: ラシャーヌ家のお手伝い。パタリロのような外見を持つ。
マダム・ローゼン: 美少年をコレクションする女性。
ヤスミン: ラシャーヌの従妹。フランスの伯爵と結婚。
伯爵: ヤスミンの夫。ラシャーヌに翻弄される。
イエリナ: おじ様の婚約者。聡明な女性。
ビショーネ: 『パパ・ラシャーヌ！』に登場するラシャーヌの息子。
パタリロ、バンコラン: 作者の別作品『パタリロ!』のキャラクター。

書誌情報

単行本：全7巻
文庫本：全4巻
愛蔵版：全3巻

関連作品

パタリロ!

『ラシャーヌ!』は、魔夜峰央の独特な世界観とユーモアが詰まった作品であり、多くの読者に愛されています。

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