ラジオはAM翔んでけ電波

番組概要

1983年 4月から1987年 9月にかけて、東北放送（TBCラジオ）で放送された夜間向けのワイドプログラムです。およそ4年半の放送期間中、「ラジ電」という愛称でリスナーに広く認知されました。この番組は、主にティーンエイジャーから20歳代前半の若年層を対象とし、当時のTBCアナウンサーが進行役を務めた点が特徴です。リスナーからの積極的な参加を促す、バラエティ豊かな企画が多数盛り込まれていました。

パーソナリティ

番組の顔となったのは、当時の東北放送に在籍していたアナウンサーたちです。スタート時から番組を支えた福井弘文氏をはじめ、石川太郎氏、長谷川恵子氏、そして渡辺敏之氏らが、それぞれの時期にパーソナリティを担当しました。彼らはアナウンサーとしての正確さと同時に、若者リスナーに寄り添う親しみやすい語り口で、番組の雰囲気を和やかに保ちました。

主なコーナー

「ラジ電」の最大の魅力の一つは、リスナーの投稿や参加を通じて成り立つ多彩なコーナーにありました。

毎日毎日クイズ: 放送時期によってルールが変わる工夫が凝らされたクイズです。プロ野球中継が行われるシーズン中は、ナイター延長によって不確定となる放送開始時刻を予想。オフシーズンは、放送当日の正午の気温を当てるという形式でした。正解した投稿者の中から抽選で賞金が贈られ、正解者が出なかった場合はその賞金が翌日に持ち越され、積立額が増えていく仕組みでした。

中トロクイズ／一曲千金クイズ: 音楽に関するリスナー参加型クイズです。初期の「中トロクイズ」は、曲の途中部分を聴いて曲名を当てるというコンセプトでしたが、後にスケールアップした「一曲千金クイズ」へと発展しました。この企画では、5曲のサビ部分を約20秒間、同時に流し、リスナーが電話で全ての曲名を言い当てるという、より難易度の高い挑戦が求められました。1曲正解するごとに1000円、そして5曲全てを正確に当てると合計5000円を獲得できるチャンスがありました。さらに、毎週月曜日には、全問正解の特典として、賞金に加えてハワイ旅行のパンフレットが進呈されるという、夢を掻き立てるプレゼントも用意されていました。

翔んでけベストテン: 曜日ごとに異なるテーマを設定し、リスナーからの投票や投稿を基に作成されたベストテン形式のランキングを発表するコーナーでした。「食べ物ベストテン」「乗り物ベストテン」「街かどベストテン」など、日常生活に根差したものから、ユニークな視点のものまで、幅広いテーマが設定され、リスナー間の共感を呼びました。

下の句頂戴: 番組が提示する短い「上の句」に対し、リスナーがそれに続く独創的な「下の句」を考えて投稿する、言葉遊びのコーナーです。リスナーの機知やユーモアのセンスが試される企画として人気を集めました。

渡辺探偵事務所: 渡辺敏之アナウンサーが担当した企画です。リスナーからの「昔出会ったあの人は今どこにいるのか？」といった、個人的な調査依頼を受け付け、可能な範囲で情報を探し、番組内で報告するという、パーソナリティの個性を活かしたユニークな取り組みでした。

今日の擬音: 1987年 4月頃からスタートしたコーナーです。リスナー自身が想像力を働かせて作った様々な「擬音」を紹介しました。「弟を叩いたら空へ飛んでいった時の音」のように、現実離れしたシュールなものも多く、リスナーの自由な発想が光りました。

* 鼻歌コンテスト: リスナーが自らの鼻歌をカセットテープに録音して送る企画です。この企画の背景には、隠れた名曲が鼻歌の中から生まれるのではないか、という期待がありました。採用された鼻歌には3000円の賞金が贈られ、コーナー全体のテーマ曲にはテレビドラマ『七人の刑事』のメインテーマが使用されました。

番組を彩るエピソード

「ラジ電」は、その型破りな企画だけでなく、放送中に起こった様々なエピソードによってもリスナーの記憶に残っています。例えば、番組に届いたハガキの内容をパーソナリティが「面白くない」と判断した場合、効果音として仏壇の鐘の音が鳴らされるという、厳しいながらもリスナーとのインタラクティブな関係を示す一面がありました。また、1983年7月頃、「番組が暗い」という批判的なハガキに対し、パーソナリティの福井弘文氏が冗談交じりに「じゃあ、他の局の番組を聴かせてやる」と宣言し、実際にNHKの番組音声を短時間流すという、生放送ならではの突発的な出来事もありました。さらに、当時まだ一般的に普及していなかったボイスチェンジャーをユーモラスに「E.T.マシン」と呼び、リスナーからのリクエストに応じてハガキの読み上げに使用するなど、時代の新しい技術を面白おかしく番組に取り入れる柔軟性も持ち合わせていました。

放送時間

番組の放送時間は、プロ野球のナイター中継があるシーズンとないシーズンとで異なっていました。

ナイターシーズン中は、火曜日から金曜日まで、夜21:00から22:20までの放送でした。月曜日には番組はありませんでした。ナイター中継が長引いた場合、番組の開始時刻が21時04分から5分刻みで遅延することが常態化しており、これが前述の「毎日毎日クイズ」の対象にもなりました。ただし、ナイター中継が22時14分を過ぎても終了しない場合は、残念ながら番組自体が休止となることもありました。

一方、ナイターオフシーズンには、月曜日から金曜日までの毎日、21:00から22:00までの放送となっていました。

約4年半にわたる放送期間を通じて、「ラジオはAM翔んでけ電波」は、そのユニークなコンテンツとリスナーとの距離の近さで、当時の若者たちの夜に活気と楽しい時間を提供し、多くの人々の心に残る番組となりました。

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