ラスカル 155mm自走榴弾砲

ラスカル 155mm自走榴弾砲

ラスカル155mm自走榴弾砲は、1980年代にイスラエルのソルタム・システムズによって開発された兵器です。この自走榴弾砲は、専用に設計された軽量の装軌式車体に155mm榴弾砲を搭載しており、コンパクトでありながら高い機動性を備えています。そのため、空輸が可能な特性を持ち、戦場に迅速に展開できることが求められました。

機動性と空輸性能

ラスカルの開発は、即応部隊への機動性向上の要求から生まれました。これにより自走砲にも空輸能力が求められ、ラスカルの車体重量は約20トンに抑えられています。この重さは、ソルタム社が手掛けた他のモデル、L33、M72、ショレフと比較しても最も軽量であり、イスラエル国内でのさまざまな輸送手段、つまり鉄道輸送、海上輸送、さらにはC-130輸送機による空輸を可能にしています。

装甲と走行装置

ラスカルは装軌式の走行装置を採用しており、その設計は特に路外での機動性を重視しています。具体的には、イスラエル北部のゴラン高原の岩場や、ネゲブ砂漠が広がる南部シナイ半島での作戦を考慮しています。走行装置のデザインには独自の形状を持つ起動輪が使用されている一方、転輪・誘導輪および履帯はイスラエル国防軍で広く用いられているM113装甲兵員輸送車と同じものです。

砲の性能

搭載されている155mm砲は39口径または52口径を選択でき、砲の可動範囲は左右30度、仰角は最大65度に達します。車体上には剥き出しの状態で最大36発の砲弾を搭載可能で、戦闘時において迅速な射撃を行える体制が整っています。

生産と後継車種

ラスカルは1980年代に約100両が製造されたとされていますが、その具体的な運用状況については詳細な情報が残されていません。後にソルタム・システムズは、ラスカルの設計理念を踏襲した新たな自走榴弾砲、ATMOS 2000を開発しました。この新モデルは装輪式の大型トラックに155mm榴弾砲を搭載する形を取っており、さらなる進化を遂げています。

ラスカル155mm自走榴弾砲は、イスラエルの戦闘シーンにおいて戦略的な役割を果たしつつ、後続の車両にもその影響を与えています。

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