ラストエンペラー (サウンドトラック)

映画『ラストエンペラー』オリジナルサウンドトラックの詳細

『ラストエンペラー』は、1988年に公開された同名の映画のために制作されたオリジナルサウンドトラックです。このサウンドトラックにおいて、特筆すべきは、その楽曲が坂本龍一、デヴィッド・バーン（トーキング・ヘッズ）、そして中国の作曲家蘇聡の三者によって演奏されている点です。最初は坂本とバーンの二人によるコラボレーションが予定されていましたが、彼らのスケジュールには合わず、それぞれが独自に楽曲を作成することとなりました。

サウンドトラックは、坂本の楽曲がレコードのA面に、バーンの楽曲がB面に収録される形で構成され、坂本の楽曲群は「静・暗」、対してバーンの楽曲群は「動・明」といった対照的なテーマが表現されています。編曲には上野耕路と野見祐二が関わり、またフェアライト・プログラミングはハンス・ジマーが担当しました。指揮はギャヴィン・ライトが行いました。

このサウンドトラックは大きな評価を受け、坂本はアカデミー賞の作曲賞を受賞するに至ります。これは日本人による初の受賞であり、彼は国際的な音楽家として認められるきっかけとなりました。受賞後、坂本は活動の拠点をアメリカ・ニューヨークに移すことになります。

映画の監督であるベルナルド・ベルトルッチは、編集を頻繁に行うスタイルの持ち主であったため、演奏する曲の時間がたびたび変わりました。当時はコンピュータでの計算が一般的ではなく、坂本は電卓を手に演奏の合間に時間を割り出すという工程を経ていました。岩手の映画音楽制作においては、オーケストラではなくシンセサイザーを使用したいとの意向がありましたが、監督の求めによりオーケストラでの録音が実現しました。

サウンドトラックから特に注目すべき楽曲は「レイン」です。この楽曲は物語の重要なシーンとリンクしており、皇妃が別れを決意する際の緊張感と悲しみを巧みに表現しています。映画を試写した関係者からも高く評価され、監督もこの曲を非常に気に入っていたという逸話があります。

さらに、『ラストエンペラー』のサウンドトラックには作品を彩る楽曲が数多く収められています。坂本の楽曲「戴冠式」や「オープン・ザ・ドア」、バーンの「メイン・タイトル・テーマ」、さらに蘇聡の「ランチ」など、各クリエイターの個性やスタイルが色濃く表れています。これらの楽曲は、映画のシーンの背景や雰囲気を一層引き立てており、聴く人を作品の世界に深く引き込む力を持っています。

『ラストエンペラー』のオリジナルサウンドトラックは、映画の持つ物語や感情を音楽によって伝える貴重な作品として、今なお多くの人々に愛されています。

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