ラストフロント -1944英米連合軍マーケット・ガーデン作戦-

『ラストフロント -1944英米連合軍マーケット・ガーデン作戦-』は、2006年に発表されたイギリス・オランダ合作の戦争アクション映画です。原題は『The Last Drop』。監督は、過去に犯罪映画などを手掛けたコリン・ティーグが務め、脚本はディーグ監督と数々の作品で組んできたゲイリー・ヤングが担当しています。

物語の概要

物語の舞台となるのは、第二次世界大戦が終盤に差し掛かった1944年秋。連合軍はドイツ本国への早期侵攻を目指し、史上最大規模の空挺作戦「マーケット・ガーデン作戦」を発動します。オランダ国内の主要な橋を制圧するため、数万人の兵士が空から舞い降りるこの歴史的作戦の陰で、もう一つの極秘任務が進行していました。

イギリス軍は「マッチボックス作戦」と呼ばれる特殊な計画を立案します。その目的は、ナチス・ドイツの親衛隊（SS）が占領地から略奪した貴重な美術品や金塊などの財宝を、現地のレジスタンス組織と協力して奪還することでした。この危険な任務を遂行するため、選りすぐりの兵士たちが特殊部隊として編成されます。

主人公たちであるこのイギリス特殊部隊は、作戦開始と共に主力部隊と共に前線へと送り出されます。しかし、彼らを乗せたグライダーは、敵であるドイツ軍の高射砲によって無残にも撃墜されてしまいます。予定していた降下地点から大きく外れ、敵地の奥深くへと不時着した彼らは、容赦ないドイツ軍の攻撃に晒され、多くの仲間を失います。過酷な戦闘を生き延びたのは、わずか一握りの兵士たちだけでした。

絶望的な状況に置かれながらも、生き残った隊員たちは命令書に記された指示に従い、作戦の続行を決意します。彼らはやがて、自らの任務が単なる陽動や偵察ではなく、SSが隠匿する莫大な財宝の奪還であることを知らされます。

しかし、財宝を狙っていたのは彼らだけではありませんでした。時を同じくして、軍規を破り軍を脱走したドイツ陸軍の有能な将校が、自らの野望のために子飼いの部下を率いて財宝強奪を計画し、暗躍を開始します。さらに、偶然にも作戦地域の近くに展開していたアメリカ陸軍空挺部隊の指揮官も、財宝の存在を嗅ぎつけ、自身の部隊を率いて財宝争奪戦に名乗りを上げます。

マーケット・ガーデン作戦という大規模な戦場の混乱に乗じて、イギリス特殊部隊の残存兵、ドイツ軍脱走兵、そしてアメリカ軍部隊という、三つの異なる勢力が、SSの隠し財宝を巡って激しい三つ巴の争奪戦を繰り広げることになります。生き残りをかけた兵士たちの葛藤と、財宝を巡る人間の欲望が複雑に絡み合い、物語は予測不能な展開を見せていきます。

キャスト

本作には、実力派の国際的な俳優たちが多数出演しています。

ロバート・オーツ中尉 - ビリー・ゼイン
リース・パウエル伍長 - ニール・ニューボン
デニス・ベーカー一等兵 - トミー・フラナガン
デヴィッド・ウェリングス一等兵 - レイフ・スポール
アラン・アイブス一等兵 - ニック・モラン
ビル・マクミラン軍曹 - ショーン・パートウィー
ユルゲン・フェラー中尉 - アレクサンダー・スカルスガルド
ハンス・ベック曹長 - カレル・ローデン
ディーター・マックス伍長 - ダヴィド・ジノラ
J・T・コルト大佐 - マイケル・マドセン
グスタフ・ハンスフェルト - スティーブ・スピアーズ
クラウス・ケスラー少佐 - ローレンス・フォックス

史実のマーケット・ガーデン作戦を背景に、フィクションの財宝争奪プロットを絡めた本作は、戦争映画でありながら、トレジャーハンティングやサバイバルアクションの要素も併せ持つ異色の作品と言えます。極限状態に置かれた兵士たちの人間ドラマや、敵味方入り乱れるスリリングな駆け引きが見どころとなっています。

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