ラスト・オブ・タイムロード

『ドクター・フー』第3シリーズ最終話「ラスト・オブ・タイムロード」：詳細解説

2007年 6月30日にBBC Oneで初放送された「ラスト・オブ・タイムロード」は、『ドクター・フー』第3シリーズの最終エピソードであり、「ユートピア」「鳴り響くドラム」に続く三部作の完結編です。日本では2012年 3月18日にLaLa TVで初放送され、Huluでは「タイムロードの最期」の邦題で配信されています。

本作の舞台は、前話「鳴り響くドラム」から1年後。タイムトラベラーの異星人マスターが地球を制圧し、人類を奴隷化、さらなる宇宙征服を企てています。マスターの野望を阻止しようと、医学生マーサ・ジョーンズは1年間に渡り地球各地を駆け巡り、抵抗を続けます。

シリーズ全体の繋がり

このエピソードは、シリーズ全体を通して様々な伏線や繋がりを示唆しています。脚本家ラッセル・T・デイヴィスは、登場人物ジャック・ハーKNOCKのあだ名「フェイス・オブ・ボー」の謎や、マスターの復活を示唆する演出についてコメントを残しています。マスターは過去のシリーズに登場したシーデビルやアクソスに言及し、地球を「Sol 3」と呼ぶなど、クラシックシリーズへのオマージュも散りばめられています。また、UNITやトーチウッドといった組織がタイムロードを長年研究していたこと、そしてドクターがUNITに所属していた過去なども明かされています。さらに、ミニエピソード「Time Crash」や小説『The Story of Martha』、『侵略前夜』といった関連作品との繋がりも確認できます。

マスターは、老いたドクターの姿をJ・R・R・トールキンの『指輪物語』のガンダルフになぞらえるなど、様々な文化的参照も織り込まれています。ドカティ教授がテレビ修理中に言及するチャンネル4の『カウントダウン』、司会者への言及、ビル・ゲイツへの発言なども、現実世界との興味深いリンクと言えるでしょう。

制作と広報

「ラスト・オブ・タイムロード」は、「ユートピア」「鳴り響くドラム」と共に、『ドクター・フー』新シリーズ初の三部作として位置付けられています。しかし、ラッセル・T・デイヴィス自身は、「ユートピア」を独立した物語として認識していたと述べています。また、本作の原題は、かつて企画された劇場版エピソードの仮題でもあったという興味深い事実も明かされています。

ロンドンのトラファルガー広場での大規模上映が計画されましたが、テロ未遂事件により中止されました。さらに、エピソードの詳細を極秘にするため、プレビューコピーへのアクセスが厳しく制限されたことも明かされています。本作は50分の拡大版として放送されました。また、マスターが登場シーンで流れるシザー・シスターズの「I Can't Decide」や、複数のオーディオコメンタリーの存在なども興味深い点です。

放送と反応

「ラスト・オブ・タイムロード」は、800万人の視聴者数を記録し、39％という高い視聴率を獲得しました。最終的な視聴者数は861万人に達しました。

批評家の反応は様々でした。ガーディアンのスティーブン・ブルックは壮大だが物足りない、と評し、SFXのデイヴ・ゴールダーは3.5/5の星評価で、見どころはあるものの満足度は低いとコメントしました。IGNのトラヴィス・フィケットは8.4/10と高く評価しましたが、ストーリーの焦点や曖昧な結末を批判しています。The Stageのマーク・ライトは、最悪のシーズンフィナーレと酷評し、スティーブン・ジェームズ・ウォーカーは「暗く憂鬱」と表現しています。

2008年には視覚効果協会賞にノミネートされ、他の著名な作品と肩を並べました。