ラッツ

ラッツ：ラトビアの歴史を刻んだ通貨

ラトビア共和国で使用されていた通貨、ラッツ（Ls）は、1922年にラトビア・ルーブルに代わって誕生しました。ラトビア語で「ラッツ」は複数形で「lati」、国際通貨コードはLVL、補助通貨単位は1ラッツを100とするサンティームス（santīms）でした。ラッツという名称は、ラトビア（Latvija）の頭3文字に由来しています。

ラッツの歩み：独立とソ連支配

ラッツは、ラトビアの独立を象徴する通貨として、国民経済を支えました。しかし、1940年にソ連に併合されると、ソ連ルーブルに取って代わられ、その歴史に一時的な終止符が打たれます。ラトビアが再び独立を回復した1993年、ラッツは復活。国民は自国の通貨を取り戻し、経済再建の道を歩み始めました。

ラッツ時代の通貨

ラッツ時代には、さまざまな額面の硬貨と紙幣が流通していました。硬貨は1、2、5、10、20、50サンティームス、そして1、2、5ラッツと多様な種類が存在し、1、2、5ラッツ硬貨は銀貨でした。紙幣も5、10、20、25、50、100、500ラッツと幅広い額面が発行され、特に100ラッツと500ラッツ紙幣は希少価値が高かったようです。1993年以降は、硬貨の種類が8種類に、紙幣の種類が6種類へと整理されました。

ユーロへの移行

21世紀に入り、ラトビアはEU加盟に向け動き始めます。その過程で、EU統一通貨であるユーロへの移行が検討され、2013年3月、2014年1月1日からのユーロ導入が欧州委員会に申請されました。申請は7月9日に承認され、ラッツは2013年12月31日を最後にその役割を終え、2014年1月1日からはユーロが法定通貨となりました。これは、ラトビア経済のEUへの更なる統合を示す大きな出来事でした。

為替レート

ラッツの為替レートは変動しました。例えば、2008年1月21日時点では、1ラッツは約222.58円でした。また、ユーロとのレートは、1ユーロ＝0.702804ラッツという変動レートでした。これらは、国際的な経済情勢やラトビアの経済状況を反映した数値です。

ラッツ：歴史の証

ラッツは、ラトビアの独立とソ連支配、そしてEU加盟という激動の時代を象徴する通貨でした。短期間とはいえ、ラッツは国民の生活に深く根付き、ラトビアの歴史に刻まれた重要な存在と言えるでしょう。ユーロへの移行は、ラトビア経済の新しい章の始まりを示すものであり、ラッツはラトビアの歴史を物語る貴重な遺産として、人々の記憶に留まり続けることでしょう。

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