ラティボル1世 (ポメラニア公)

ラティボル1世（ドイツ語: Ratibor I., ポーランド語: Racibor I, 1110年頃 - 1155/6年5月7日）は、12世紀のポメラニア公であり、ヴァルティスラフ1世の弟として知られています。

生涯

初期の頃、ラティボル1世はカミエンに居を構え、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーといったスカンディナビア諸国を訪れました。1135年に兄ヴァルティスラフ1世が亡くなると、公領を継承しました。彼はポメラニア公としてだけでなく、スワヴノ公でもあったとされ、スワブノ公家の始祖と考えられていましたが、近年ではこの説を否定する見解も出ています。

公領を継承後も、ラティボルはスカンディナビアへの略奪を目的とした遠征軍を組織し続けました。1135年には、リューゲン島へ向かうデンマーク艦隊を打ち破り、その報復として当時のデンマークの首都ロスキレを破壊しました。この出来事は、当時のスカンディナビアの年代記である『Annales Nestredienses』や『Annales Sorami』にも記録されています。彼の最も重要な遠征の一つとして、1135年のコヌンガヘラの街の略奪があり、甥のドゥニミスルとともにこの作戦を実行しました。

ラティボルはキリスト教信仰の擁護者、推進者でもありました。彼の治世下では、バルトやグリンメンに教会が建てられ、スウピエとグローベには修道院が創建されました。また、1128年からヴォルガストに司教区が置かれたポメラニア司教区の境界も確立され、初のアダルベルトが司教に任命されました（1140年10月14日）。司教領は、西のレクニツァから東のウェバ川までの地域で、城主たちからの寄付や収入の一部によって支えられていました。

ラティボルはグロビャのプレモントル会修道院に埋葬されました。彼の死後、兄ヴァルティスラフ1世の息子であるボギスラフ1世とカジミール1世が公領の統治を引き継ぎました。

結婚と子女

ラティボル1世はプリブィスラヴァと結婚しました。プリブィスラヴァはヴォルィーニ公ヤロスラフ・スヴャトポルコヴィチの娘であると考えられており、1155/6年以降に亡くなりました。二人の間には二人の子供が生まれました。

マルガレーテ（1142/5年 - 1197/8年以前） - ラッツェブルク伯ベルンハルト1世と結婚
スヴァントポルク（1197/8年以前没） - ポメラニア公？、スワヴノ＝スウプスク公

古い資料には、上記2人の他にヴァルティスラフ（2世）、ボギスラフ3世、バルトロメウ、スヴァントポルクの娘たち、ドブロスラヴァなどの名前もラティボルの子として記載されています。

ラティボル1世は、ポメラニアの歴史において重要な人物であり、彼の統治は、ポメラニア公国の発展とキリスト教化に大きな影響を与えました。

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