ラネー合金

ラネー合金とは

ラネー合金は、触媒として機能する金属と、酸やアルカリによって溶解する金属を組み合わせた合金です。1925年にアメリカの技術者マレイ・ラネーによって開発されました。この合金の最大の特徴は、特定の処理を行うことで、非常に高い触媒活性を持つ触媒を作り出せる点にあります。

ラネー触媒の生成

ラネー合金を酸やアルカリで処理し、溶解可能な金属を取り除くことで、触媒活性のある金属のみを残したものを「ラネー触媒」と呼びます。この処理を「展開」と言います。ラネー触媒は、金属が溶解する際に無数の細孔が生成し、スポンジのような多孔質構造になります。この構造によって表面積が非常に大きくなり、結果として触媒としての能力が大幅に向上します。この触媒は、マレイ・ラネーが勤務していた会社を買収したW.R.Grace & Co.の登録商標「ラネー」という名前で知られていますが、他社では一般的に「スポンジ触媒」という名称で販売されています。

ラネーニッケル触媒

ラネー触媒の代表的な例として、ニッケルとアルミニウムからなるラネー合金があります。この合金を水酸化ナトリウム水溶液で処理すると、アルミニウムのみが溶解し、ラネーニッケル触媒が生成されます。この際、アルミニウムが溶解する過程で水素が発生し、触媒表面に吸着されます。そのため、外部から水素ガスを供給しなくても、水素化反応を促進する能力を持ちます。水酸化ナトリウムによるアルミニウムの除去工程は、「活性化」とも呼ばれます。

触媒活性の変動要因

ラネーニッケル合金の触媒活性は、ニッケルとアルミニウムの組成比、展開時の温度、アルカリ濃度などによって変化します。触媒は乾燥すると容易に発火する危険性があるため、通常は水やアルコール中で保存されます。

ラネー触媒の用途

ラネー触媒は、その高い触媒活性から有機合成や水素を付加する反応に広く用いられます。還元性雰囲気下では、白金やパラジウムといった貴金属触媒に匹敵する活性を示すため、燃料電池などの低コスト化に貢献する可能性が期待されています。ただし、炭化水素から改質した水素は純度が低いため、ラネー触媒の利用には不向きな場合があります。

関連触媒

ラネー触媒に関連する触媒として、以下のものがあげられます。

アルミニウム化ニッケル
漆原ニッケル
リークニッケル
ホウ化ニッケル

これらの触媒も、ラネー触媒と同様に、特定の反応を促進する能力を持っています。

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