ラフ・コリー

ラフ・コリー：穏やかな気性と美しい外観を持つ牧羊犬

ラフ・コリーは、イギリスのスコットランドを原産とする牧羊犬です。スムース・コリーと共にスコッチ・コリーとも呼ばれます。コリー犬種の中でも特に人気が高く、単に「コリー」と呼ばれることも多いです。シェットランドシープドッグと外見が似ていますが、ラフ・コリーは大型犬に分類され、より穏やかな性格を持っています。

歴史

ラフ・コリーの祖先は、2000年前にローマ人がスコットランドに持ち込んだ牧羊犬であると言われています。イングランド北部からスコットランドにかけての地域で、羊の誘導や水難救助犬として活躍しました。19世紀には、長毛のラフ・コリーと短毛のスムース・コリーが存在していました。

1860年代には、スムース・コリーがヴィクトリア女王に愛されたことがきっかけで、ラフ・コリーも人気を博しました。改良の結果、現在の洗練された外観になったとされています。その後、ラフ・コリーは牧羊犬としてだけでなく、上流階級のペットとしても愛されるようになり、2度の世界大戦を乗り越え、生き残りました。

20世紀には、小説「名犬ラッシー」が映画化・テレビドラマ化され、世界的な人気を博し、ラフ・コリーの知名度も急上昇しました。ラッシーフィーバーは落ち着きましたが、現在でもその人気は衰えていません。

日本でもラフ・コリーは人気があり、安定したファンがいます。2021年度のJKC国内登録頭数順位は126犬種中49位でした。近年はブリーダーの高齢化などにより入手が難しくなってきています。取引価格は概ね10～20万円程度です。

特徴

ラフ・コリーは、マズルと脚が長く、豊かなロングコートが特徴です。毛色は、セーブル・アンド・ホワイト、トライカラー、ブルーマールの3色が認められています。半垂れ耳とふさふさしたサーベル形の垂れ尾を持っています。体高はオスが61～66cm、メスが56～61cmで、体重はオスが27～34kg、メスが22～29kgです。

性格は親しみやすく、友好的で、初心者でも飼育しやすい犬種です。しかし、遺伝的に心臓病にかかりやすい傾向があります。また、コリー眼異常と呼ばれる眼疾患が見られることもあり、失明につながる可能性もあるため注意が必要です。

飼育の注意点

運動: ラフ・コリーは活発な犬種なので、十分な運動が必要です。毎日散歩に連れて行ったり、ドッグランで遊ばせたりして、運動不足にならないようにしましょう。
手入れ: 長い被毛は、定期的なブラッシングが必要です。特に換毛期は念入りにブラッシングし、毛玉ができないようにしましょう。月に一度はシャンプーをして、清潔に保つことも大切です。
健康管理: 定期的に健康診断を受け、病気の早期発見に努めましょう。特に、コリー眼異常には注意が必要です。

まとめ

ラフ・コリーは、美しい外観と穏やかな性格で、世界中で愛されている犬種です。初心者でも飼育しやすいですが、適切な運動や手入れ、健康管理が必要です。ラフ・コリーを飼う際には、これらの点に注意して、愛情をもって育ててあげましょう。

参考

『犬のカタログ2004』（学研）
『日本と世界の愛犬図鑑2007』（辰巳出版）
『デズモンド・モリスの犬種事典』（誠文堂新光社）
* 『日本と世界の愛犬図鑑2009』（辰巳出版）

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