ラブ・ポジション ハレー伝説

ラブ・ポジション ハレー伝説：手塚治虫原作OVA作品

手塚プロダクションが手塚治虫原作以外の作品として初めて制作したオリジナルOVA作品『ラブ・ポジション ハレー伝説』。本作は、ベトナム戦争という歴史的背景と、宇宙からの使者、そして連続殺人鬼といったミステリアスな要素が絡み合う、壮大なSFミステリーです。

ストーリー：宇宙からの使者と殺人鬼の邂逅

舞台はアメリカ・ネバダ州。刑務所から脱獄した殺人鬼ザンバによる連続殺人事件が発生していました。逃亡中のザンバを目撃した少年は、父親に「ザンバは宇宙人に体を乗っ取られた怪物だ」と語ります。

一方、日本では、青年毬田須春が、筑波博士と共にハレー彗星から落下した隕石の調査のためベトナムへ向かう計画を進めていました。その知らせを受けた須春の父親、ロバートは、かつてベトナム戦争で出会った少女ラミーナとの思い出を語り、須春に彼女への贈り物としてハーモニカを渡すように頼みます。

ベトナムの山奥の廃墟で、須春はラミーナと、謎の物質「テクタイト」を発見します。数十年経った今も少女の姿をしているラミーナに驚きつつも、須春は彼女を日本に招待し、ロバートとの再会を果たさせます。

その後、筑波研究所に招かれた須春とラミーナは、筑波博士からテクタイトが地球の生命の起源に関わる物質であることを聞かされます。テクタイトの秘密を知る可能性があるとして、ラミーナに尋問が行われますが、ラミーナはそこで衝撃的な告白をします。「自分は地球を滅ぼすために創造主から遣わされた存在であり、使命を放棄した自分を抹殺するために、ザンバの体を乗っ取った使者が日本に来ている」と。

ラミーナと共に研究所を脱出した須春は、鷲鷹山へ向かいますが、ザンバもまた、ラミーナを抹殺するために鷲鷹山へと向かいます。物語は、須春とザンバ、そしてラミーナの運命が交錯するクライマックスへと進んでいきます。

登場人物：それぞれの思惑が交錯する

毬田須春：筑波研究所の研究員。父親の頼みからラミーナを守るため、ザンバと対決します。

ラミーナ：地球を滅ぼす使命を帯びて創造主から遣わされた使者。しかし、地球の美しさに心を奪われ、使命を放棄しています。

虎馬由美：須春の恋人。父親は筑波研究所のスポンサーである虎馬化学工業の社長。ラミーナを須春の新しい恋人だと勘違いし、動揺します。

ロバート・毬田：須春の父親。元アメリカ陸軍中尉で、ベトナム戦争に従軍していました。ラミーナとの出会いが、彼の人生観を大きく変えます。

ザンバ：強盗殺人の罪で服役していた囚人。脱獄中に、創造主の使者に体を乗っ取られます。

筑波博士：微生物学者で筑波研究所の所長。ラミーナとテクタイトの謎を解き明かそうとします。

安居吾洋：虎馬社長の部下。次期社長の座を狙い、須春の命を狙います。

スタッフとキャスト：豪華な布陣

本作には、多くのベテラン声優陣やアニメ制作スタッフが参加しています。監督は井内秀治、脚本は辻真先、音楽は若草恵など、そうそうたるメンバーが作品を支えています。

まとめ：宇宙と人間のドラマ

『ラブ・ポジション ハレー伝説』は、宇宙からの使者、連続殺人事件、そして複雑な人間関係が絡み合う、奥深い物語です。ベトナム戦争という歴史的背景も加わり、作品に重厚感を与えています。テクタイトの謎、ラミーナの運命、そして須春の決断。様々な要素が絡み合い、観るものを引き込む作品となっています。壮大なスケールと緻密な描写、そして登場人物たちの複雑な感情が繊細に描かれた、見応えのあるOVA作品です。

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