ラブ&ポップ

『ラブ＆ポップ』

村上龍による小説『ラブ＆ポップ』は、1996年に刊行された作品で、特に女子高生による援助交際というテーマが描かれています。この小説は1988年の『トパーズ』の続編として位置付けられており、後には庵野秀明の手によって映画化もされています。

あらすじ

主人公の裕美は、典型的な現代の女子高生で、カメラによる写真撮影を趣味としています。彼女は夏休みを前に、友人の知佐、奈緒、千恵子と共に渋谷で水着を購入するために出かけます。その際、裕美は思わぬ高価なトパーズの指輪に目を奪われてしまいます。指輪の価格は12万円。裕美たちはその代金を援助交際の手段で手に入れようと決心します。

最初は4人で分け合うつもりでしたが、裕美は自分一人でお金を得て、その指輪を手に入れたいと考え、タイムリミットをデパートの閉店時間に設定して一人で援助交際を行うことを決意します。

裕美が選んだ相手は、妙に奇抜な要求をする青年ばかりで苦境に陥ります。特に印象的なのは、キャプテン××のぬいぐるみと会話をしている青年との出会いで、結局彼から暴力を受け、心に傷を負ってしまいます。裕美は最終的にはデパートの閉店時間に間に合わず、指輪を手に入れることはできませんでしたが、自らの経験を通して少し大人になった実感を得るのでした。

映画化の背景

この作品が映画化された際、庵野秀明は自らの映像制作のビジョンを持って村上に企画書を提出。村上もそのコンセプトに心を動かされ、映画化を許諾しました。庵野はビデオカメラを用いてのオールロケーションを選び、手持ちカメラによるリアリティを追求しました。多重のビデオカメラを同時に使用して撮影を行い、長時間のテイクを重ねていくことで、非常に独特な映像表現を実現しました。

スタッフとキャスト

本作の脚本は薩川昭夫が担当し、撮影には柴主高秀が関わっています。キャストには三輪明日美、仲間由紀恵などが名を連ね、多くの若手俳優が参加しています。特に三輪明日美は主演としてのパフォーマンスが高く評価され、若手俳優だけでなく、さまざまなスタッフの熱意が作品を支えました。

受賞歴と評価

『ラブ＆ポップ』は第20回ヨコハマ[[映画祭]]にて複数の賞を受賞し、高い評価を得ました。原作者の村上自身も、この映画がもたらすドキュメンタリー的な手法に感銘を受けた様子を見せています。

まとめ

『ラブ＆ポップ』は単なる物語としてだけでなく、視聴者に多くのメッセージを発信する作品です。人間関係や欲望、またそれに潜む傷を鋭く描き出したこの作品は、現代社会における問題提起ともなっています。

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