ラミズ・アリア

ラミズ・アリア：アルバニアの変革期を担った政治家

ラミズ・アリア（Ramiz Alia, 1925年10月18日 - 2011年10月7日）は、アルバニアの政治家であり、エンヴェル・ホッジャの後継者として知られています。ホッジャの死後、アルバニアの政権を担い、社会主義体制の変革期における舵取りを行いました。

ホッジャの後継者として

10代の頃から共産主義運動に参加したアリアは、ホッジャの下でその才能を開花させました。1961年にはアルバニア労働党（APL）の政治局員に、1982年には国家元首である人民議会幹部会議長に就任し、着実にキャリアを積み重ねていきました。

ホッジャがアリアを後継者に選んだ背景には、いくつかの理由があります。まず、アリアはマルクス・レーニン主義の忠実な信奉者であり、ホッジャの政策を支持していました。また、ホッジャの妻であるネジミエに気に入られていたことも、アリアにとって有利に働きました。さらに、アリアはホッジャと政治的な経験や見解を共有し、全体主義的な支配体制に順応する能力も持ち合わせていました。

変革への試み

1985年、アリアは労働党第一書記としてホッジャから政権を引き継ぎましたが、当時のアルバニアは深刻な危機に直面していました。政治的無関心と冷笑主義が蔓延し、経済は停滞、社会統制と官僚組織は腐敗していました。知識層は党の支配に抵抗し、人権問題に対する批判も高まっていました。

アリアは、国内の不満を認識し、社会システムの変更に着手します。経済効率の改善を目指し、価格改革や経済の分権化を試みました。また、検閲を緩和し、社会問題に関する議論や、文化的な問題に関する討論を許可しました。人権問題に関する国際的な批判に対応するため、政治的支配を緩め、大規模な規制を廃止し、恩赦も実施しました。外交面では、近隣諸国との関係改善に努め、旅行や観光に対する制限を緩和しました。

改革の限界と民主化

アリアの改革は慎重に進められましたが、そのペースは十分ではありませんでした。党官僚は既得権益を失うことを恐れ、改革に抵抗しました。1990年12月には、学生たちが独裁政治の終焉を求めてデモを行い、アリアは学生たちとの対話に応じざるを得なくなりました。

1991年、アリアはアルバニア労働党をアルバニア社会党に改組し、自身は大統領に就任しましたが、経済状況は依然として厳しく、多くのアルバニア人が国外への脱出を試みました。1992年の総選挙でアルバニア民主党（ADP）が勝利すると、アリアは大統領を辞任し、政界から引退しました。

引退後

大統領辞任後、アリアは汚職や権力乱用の罪で裁判にかけられ、懲役刑を受けました。2011年10月7日、肺の病気のためティラナの病院で死去しました。

評価

ラミズ・アリアは、アルバニアの変革期において重要な役割を果たした政治家です。ホッジャ体制の終焉と民主化への移行期において、社会の安定を維持しながら、徐々に改革を進めようとしました。しかし、その改革は十分ではなく、最終的には民主化の波に乗り、政権を退くこととなりました。彼の政治的遺産は、複雑かつ多面的であり、今日でも議論の対象となっています。

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