ラモラル1世・ド・リーニュ

ラモラル1世・ド・リーニュ：外交官として、そしてリーニュ公として

ラモラル1世・ド・リーニュ（1563年7月19日 - 1624年2月6日）は、16世紀後半から17世紀初頭にかけて、スペイン領ネーデルラントで活躍した外交官です。彼はリーニュ伯フィリップ・ド・リーニュと、ホーホストラーテン伯フィリップ・ド・ラレンの娘マルグリート・ド・ラレンの間に生まれました。1601年には神聖ローマ皇帝よりリーニュ公位を授けられ、リーニュ家の地位を確立しました。

外交官としての活躍

ラモラル1世は、ネーデルラント総督イサベル・クララ・エウヘニア王女とその夫アルブレヒト大公の使節として、フランス宮廷やスペイン宮廷に出入りしました。特に重要な功績は、1615年に実現したイサベル王女の姪、スペイン王女アナ（アンヌ・ドートリッシュ）とフランス王ルイ13世との結婚交渉において、スペイン側代表としてフランス政府との折衝を担ったことです。この結婚は、当時のヨーロッパの政治情勢に大きな影響を与え、ラモラル1世の外交手腕が高く評価されました。

リーニュ家の家督相続

1584年、ラモラル1世はエピノワ公ユーグ2世・ド・ムランの娘アンヌ＝マリー・ド・ムランと結婚しました。アンヌ＝マリーの兄であるピエール・ド・ムランは、反スペイン反乱に参加したため、スペイン王室から称号と所領を没収され、妻子と共にフランスへ亡命しました。その後、称号と所領は弟のロベール・ド・ムランに渡りましたが、ロベールが1585年に子なくして亡くなったため、スペイン王室はアンヌ＝マリーの夫であるラモラル1世に、エピノワ公・ルベ侯爵などムラン家の称号と資産の継承を認めました。しかし、ピエールの子孫も1787年のスービーズ公シャルル・ド・ロアンの死までエピノワ公の称号を使用し続けたため、エピノワ公位は1787年まで競合状態にありました。

子孫

ラモラル1世は、妻アンヌ＝マリーとの間に1男4女をもうけました。

ヨランド（1585年 - 1611年）：1599年、アーヴレ侯爵シャルル・アレクサンドル・ド・クロイと結婚
フロラン（1588年 - 1622年）：ルベ侯爵、アントワン男爵、アンブリス公、リーニュ公クロード＝ラモラル1世の父
アンヌ（1590年 - 1651年）：第4代グアダレスト侯爵フェリペ・フォルチ・デ・カルドナ・イ・ボルハ＝ランソルと結婚
ランベルティーヌ（1593年 - 1651年）：1609年、サン＝マルタン侯爵フィリベール・ド・ラ・ボームと初婚。1615年、クリストフ・フォン・オストフリースラントと再婚。1640年、サン＝マルタン侯爵ジャン＝バティスト・ド・ラ・ボーム（最初の夫の弟）と三婚
* エルネスティーヌ（1594年 - 1668年）：1618年、ナッサウ＝ジーゲン伯ヨハン8世と結婚

ラモラル1世・ド・リーニュは、外交官としての才能と、家を守り立てる手腕によって、リーニュ家の歴史に名を残す人物となりました。

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