ラルプ・デュエズ

ラルプ・デュエズ：ツール・ド・フランスの伝説的な峠

ラルプ・デュエズ（L'Alpe-d'Huez）は、フランス・イゼール県に位置するアルプス山系の高原リゾート地であり、冬季はスキー場として賑わいます。しかし、ラルプ・デュエズが世界的に有名なのは、何と言っても自転車ロードレース、ツール・ド・フランスのコースとして組み込まれているからです。その急勾配な坂道は、選手たちを苦しめ、数々のドラマを生み出してきました。

ラルプ・デュエズの概要

標高: 1850m
標高差: 1130m
平均斜度: 7.9%
最大斜度: 11.5%

麓から頂上までの道程には21のカーブがあり、それぞれのカーブには過去のステージ優勝者の名前が刻まれたパネルが設置されています。ファウスト・コッピ、ベルナール・イノー、マルコ・パンターニなど、自転車界のレジェンドたちの名が連なっており、ラルプ・デュエズの歴史と伝統を感じさせます。

ツール・ド・フランスにおけるラルプ・デュエズ

ラルプ・デュエズが初めてツール・ド・フランスのコースに登場したのは1952年。以来、その過酷なコースは、数々の名勝負を生み出してきました。

1952年: 初めてコースに組み込まれ、イタリアの英雄ファウスト・コッピが優勝。
1976年以降: 定期的にコースに組み込まれるようになり、特に1970年代後半から1980年代にかけてはオランダ人選手の活躍が目立ちました。
1990年代: イタリア人選手の活躍が目立ち、マルコ・パンターニが圧倒的な記録を打ち立てました。
2000年代: ランス・アームストロングが記録を塗り替えるも、後にドーピング問題で記録抹消。

近年でも、ラルプ・デュエズは重要なステージとして設定され、総合優勝を争う選手たちの戦いの舞台となっています。

ラルプ・デュエズにまつわるエピソード

オランダコーナー: 7番コーナーは「オランダコーナー」と呼ばれ、多くのオランダ人ファンが集まります。
ベルナール・イノーとグレッグ・レモン: 1986年、不仲だった二人が肩を組んでゴールする姿は、時代の象徴として語り継がれています。
マルコ・パンターニの記録: 1994年、パンターニは当時の最速記録を大幅に更新し、一躍有名になりました。
ジュゼッペ・グエリーニの事故: 1999年、グエリーニは観客と衝突しながらもステージ優勝を飾りました。
ランス・アームストロングの戦略: 2001年、アームストロングはチーム戦略を駆使してステージ優勝を飾りましたが、後に記録抹消。
2013年の第100回大会: ラルプ・デュエズを2回登るという特別なコース設定で行われました。

ラルプ・デュエズのジンクス

「ラルプ・デュエズを制する者は総合優勝を果たせない」というジンクスがあります。これは、ラルプ・デュエズがあまりにも過酷なステージであるため、そこで力を使い果たしてしまうと、後のステージで不利になるためだと考えられています。

しかし、ファウスト・コッピ、カルロス・サストレ、ゲラント・トーマスは、ラルプ・デュエズでステージ優勝を果たしながらも、その年の総合優勝を成し遂げています。このジンクスを打ち破った彼らの功績は、ラルプ・デュエズの歴史に新たな1ページを刻みました。

ラルプ・デュエズは、その美しい景観と過酷なコースで、これからも多くのドラマを生み出し続けるでしょう。

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