ラングーン事件

ラングーン事件

ラングーン事件（ラングーンじけん）は、1983年10月9日にビルマの首都ラングーンのアウンサン廟で起こった爆弾テロです。この事件は「ラングーン爆破テロ事件」や「アウンサン廟爆破事件」とも呼ばれ、韓国の全斗煥大統領を狙った工作員によるものでした。

事件の概要

事件は北朝鮮の工作員によって計画され、全斗煥大統領一行がビルマを訪問中に暗殺を企てられました。指揮の拠点とされたのは、マレーシアにある北朝鮮の大使館でした。事件が発生した当時、韓国は1988年のソウルオリンピックを控え、非同盟中立国との関係構築に努力していました。これが北朝鮮にとって大きな脅威となり、金日成は全斗煥の暗殺を試みるよう指示しました。

1983年10月、三名の北朝鮮工作員がラングーンに潜入し、アウンサン廟の屋根裏に遠隔操作のクレイモア地雷を仕掛けました。全斗煥大統領一行は10月8日、ビルマに到着し、翌日、アウンサン廟に献花に訪れる予定でした。

事件の発生

事件当日、10月9日午前10時25分、韓国の駐ビルマ特命全権大使の車両が全斗煥大統領の車と誤認され、爆弾が爆発しました。この爆発で21名が死亡し、さらに47名が負傷しましたが、全斗煥大統領自身は到着が2分遅れたために難を逃れました。

事件の後、韓国国内では緊急閣議が招集され、北朝鮮の陰謀だとされたため、全斗煥大統領は強い言葉で北朝鮮に警告しました。事件後には、国家葬儀や民間の追悼集会が行われ、北朝鮮に対する反発が高まりました。一方、北朝鮮は事件に関与していないと強く否定しました。

事件の捜査と結果

事件発生の後、ビルマ警察は迅速に捜査を行い、北朝鮮の工作員たちを特定しました。3名の工作員のうち、キム少佐は射殺され、二人が逮捕されました。この二人は作戦の詳細を供述し、11月4日にはビルマ政府が北朝鮮によるテロと断言しました。

ビルマ政府は事件を受けて、北朝鮮との国交を断絶し、同国の国際社会での地位を低下させました。またアウンサン廟の再建も行われ、北朝鮮に対する非難は国際的にも広がりました。

ラングーン事件の影響

この事件はビルマにとって衝撃的であり、非同盟中立国としての立場を問われることとなりました。北朝鮮の行動は他国からの信頼を失う結果となり、特にアフリカ諸国がソウルオリンピックに参加する流れを加速させました。

さらに、ラングーン事件は日本共産党と朝鮮労働党の関係にも影響を及ぼし、両党間の交流が断絶する原因となりました。

結論

ラングーン事件はその後の国際関係に大きな影響を与え、特に北朝鮮の国際的なイメージに悪影響を及ぼしました。見過ごされがちなこの事件は、詳細にわたる調査や解明がなされることになり、当時の歴史を振り返る上でも重要な出来事といえるでしょう。

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