ランズベルク L-5

ランズベルクL-5は、1920年代にスウェーデンのランズベルク社が開発した、装輪・装軌併用式のユニークな軽戦車です。この戦車の開発は、スウェーデンとドイツ（ヴァイマル共和国）の共同プロジェクトとして進められ、スウェーデンにとっては初の自国開発戦車という歴史的な意義を持っています。

開発の背景

1920年代後半、ヴァイマル共和国の技術者オットー・メルカーを中心に、装輪・装軌併用式の新型戦車の設計計画が開始されました。この戦車は当初「Räder-RaupenKampfwagen M28（装輪-装軌戦闘車両、1928年式）」と呼ばれていましたが、当時のドイツはヴェルサイユ条約によって戦車開発が制限されていたため、スウェーデンのランズベルク社と共同で開発を進めることになりました。表向きはスウェーデンが開発主体となり、ドイツは技術者派遣や技術・資金提供を行うという形が取られました。

こうして誕生したのが、スウェーデン側で「ランズベルクL-5」と呼ばれる戦車です。1929年には最初の試作車両が完成し、翌1930年にはさらに5両の試作車が製造されました。

L-5の特徴

L-5の最大の特徴は、その独特な走行システムにあります。装軌式走行装置の外側に装輪式走行装置が取り付けられており、必要に応じて走行方式を切り替えることが可能でした。これにより、不整地での機動性と、舗装路での高速走行を両立させようという意図がありました。最初の3両には50馬力のダイムラーベンツ製ガソリンエンジンが搭載され、残りの3両には70馬力のビュッシングNAG製エンジンが搭載されました。

試験と開発中止

6両の試作車は試験場で徹底的なテストを受けましたが、その結果は芳しいものではありませんでした。試験中に部品の破損が相次ぎ、設計上の問題点が多数明らかになったためです。これらの問題点を解決することが困難と判断され、1933年にL-5の開発は中止されることになりました。また、ドイツ軍も装輪・装軌併用式戦車の開発を一時中断することとなりました。

その後の影響

ランズベルクL-5の開発は失敗に終わりましたが、スウェーデンではこの経験を活かして同様のコンセプトを持つ戦車の開発が続けられました。その結果、完成したのがランズベルクL-30です。L-30はスウェーデン軍によって「Strv fm/31」という試験型式を与えられてテストされ、後のスウェーデン戦車開発に大きな影響を与えました。L-5は、スウェーデン戦車開発の歴史において、重要な一歩であったと言えるでしょう。

ランズベルクL-5は、そのユニークな構造にもかかわらず、実用化には至りませんでしたが、戦車開発における実験的な試みとして、その歴史的意義は大きいと言えるでしょう。

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