ランボルギーニ・シアン FKP 37

ランボルギーニ・シアン FKP 37：革新と伝統の融合

ランボルギーニ・シアン FKP 37は、イタリアのスーパーカーメーカー、ランボルギーニが2019年に発表した限定生産のハイブリッドスーパーカーです。同社初のハイブリッドモデルとして、伝統的なランボルギーニのデザインと先進技術を融合させた、特別な一台となっています。

車名の由来

車名の「シアン（SIÁN）」は、ボロニェーゼ地方の方言で「稲妻」を意味する言葉で、革新的なハイブリッドシステムを象徴しています。FKP 37は、フォルクスワーゲングループ元会長、フェルディナント・カール・ピエヒ氏への敬意を表したもので、彼のイニシャルと生年（1937年）に由来しています。ピエヒ氏は、かつて経営危機に陥っていたランボルギーニを救済した人物であり、この名称には深い感謝の意が込められています。

デザイン：過去と未来の融合

シアンのデザインは、アヴェンタドールをベースにしながらも、ランボルギーニの歴史を彷彿とさせる要素を取り入れています。1971年に発表された伝説的なモデル「カウンタック」のデザインを、フロントトランク、ルーフ、テールライトなどに巧みに反映。一方、Y字型のデイタイムランニングライトや、エレクトロクロミックルーフといった先進的なディテールは、未来への展望を示しています。

特筆すべきは、アクティブリアウィングや、熱に反応して開閉するリアカウルのベーンなど、空力性能を最適化する数々の工夫です。これらのデザインは、単なる装飾ではなく、優れた走行性能を実現するための重要な要素となっています。20インチと21インチという前後異径のコフィン形状ホイールも、シアンのデザインを特徴づけるものです。

パフォーマンス：圧倒的なパワーと効率性

シアンのパワーユニットは、アヴェンタドールSVJと同じ6.5リッターV12エンジンをベースに、48Vの電気モーターとスーパーキャパシタを組み合わせたハイブリッドシステムを採用しています。最高出力は819psに達し、当時のランボルギーニ車の中で最もパワフルなモデルでした。

従来のリチウムイオンバッテリーではなく、スーパーキャパシタを採用した点が画期的です。スーパーキャパシタは、同じ重量のリチウムイオンバッテリーと比較して3倍の電力貯蔵能力を持ち、重量配分の最適化にも貢献しています。回生ブレーキシステムと連携して、加速性能だけでなく燃費効率も向上させています。

0-100km/h加速は驚異の2.8秒、最高速度は355km/hに達します（電子制御によるリミッター作動）。

内装：ラグジュアリーと先進技術の調和

シアンの内装は、アヴェンタドールをベースにしながらも、現代的な要素が加えられています。垂直タッチスクリーンディスプレイや、3Dプリンターで製作されたエアベントなど、先進的なテクノロジーが採用されています。

アルカンターラやアニリンレザーといった高級素材をふんだんに使用し、高度なパーソナライゼーションプログラムにより、オーナーの個性を反映した一台を創造することが可能です。

ロードスターモデル

2020年には、オープンエアモデルであるシアン・ロードスターが発表されました。クーペモデルと同様に限定生産され、19台が製造されました。ロードスターモデルでは、3Dプリンターで製作されたカーボンファイバー製通気孔がリアに設置され、オーナーのイニシャルを入れることもできました。

生産と限定性

シアンFKP 37は、クーペモデルが63台、ロードスターモデルが19台という、非常に限定的な生産台数でした。ランボルギーニのAd Personam部門が製造を担当し、各車両はフルオーダーメイドで製作されました。そのため、世界中に同じ仕様の車両は一台も存在しません。

まとめ

ランボルギーニ・シアン FKP 37は、ランボルギーニの伝統と革新が融合した、希少価値の高いスーパーカーです。圧倒的なパフォーマンスと、洗練されたデザイン、そして限定生産という希少性から、世界中のコレクターから高い評価を受けています。このモデルは、ランボルギーニの歴史において、重要な転換点を示す一台と言えるでしょう。

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