ラヴリン

ラヴリン（Ravelin）について

ラヴリンは、要塞防御の一環として設計された構造物で、カーテンウォールの前方、主たる堀よりも外側に位置しています。この構造物は、2つの面が凸角をなす形状をしており、別名デミルーン（半月）とも呼ばれます。この名称はフランス語に由来し、元々のルネット（lunette）から発展してきたことを示しています。また、日本語では「三角堡」や「半月堡」と訳されることがあります。

軍事的機能

ラヴリンのデザインは、敵の攻撃を効果的に分断することを目的としています。外側の辺は敵の進攻を妨げるために設計されており、内側に設置された火砲は、近接している攻撃部隊に対して砲撃を行うことができるようになっています。攻撃側がカーテンウォールを打破するのを防ぐために、ラヴリンは非常に戦略的な重要性を持っています。また、ラヴリンの主たる要塞に面した側面は低い壁が設けられています。これにより、万が一攻撃を受けたり、防衛側がその場を放棄したとしても、攻撃側がその場所を安全な避難所として利用することはできません。さらに、ラヴリンの付近には、兵員や火砲の迅速な移動を支援するための傾斜路や階段がしばしば設置されています。

小史

ラヴリンの起源は1497年に遡ります。最初の例は、イタリアの町サルザーナにあるサルザネッロ要塞で見られます。当初のラヴリンは煉瓦で構築されていましたが、16世紀以降はオランダでより効果的な防御が求められ、砲弾の衝撃を吸収するために土で構築されるようになりました。ただし、これには石や煉瓦の覆いが使用されることもあったようです。ラヴリンは、星型要塞の一部として、イタリア式築城術（trace Italienne）にも関わっています。17世紀になると、フランスの軍事工学者ヴォーバンがこの構造を積極的に取り入れ、ルイ14世のために設計した要塞にはラヴリンが重要な役割を果たしました。その設計思想は1761年までにジブラルタル要塞でウィリアム・グリーン少佐によって引き継がれていました。

語源

ラヴリンという名前の由来については、16世紀後半のフランス語が起源であるとされ、英語の「ravelin」はこのフランス語を借用したものとされています。また、フランス語のravelinはイタリア語のravellino（現在は使用されない語）から派生したと考えられています。メリアム＝ウェブスター辞典によりますと、ravellinoはさらに変化した形であり、ラテン語のripa（堤や土手）に関連する「小さな堤」を意味している可能性があります。どちらにせよ、語源はイタリアに根ざしていることが分かります。

関連項目

• - ヴォーバン
• - 星型要塞
• - 確立された軍事用語の一覧

ラヴリンはその設計と機能によって、歴史的な要塞防御において重要な役割を担ってきました。防衛戦略の進化を明確に示す構造として、今なお多くの人々に研究され続けています。

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