ラヴ・マイナス・ゼロ

ラヴ・マイナス・ゼロ

『ラヴ・マイナス・ゼロ』は、1985年にリリースされた甲斐バンドの11枚目のオリジナル・アルバムです。このアルバムは、甲斐バンドの「NY3部作」の最終章を飾る作品として位置づけられています。

概要

本作の大きな特徴は、ボブ・クリアマウンテンによるミックスが施されている点です。彼の洗練されたサウンド・プロダクションは、甲斐バンドの音楽性を新たな次元へと引き上げました。ただし、「フェアリー（完全犯罪）」のみ、ニール・ドーフスマンがミックスを手掛けています。

再結成前のオリジナル・アルバムとしては、本作が最後の通常形態となりました。収録曲のほとんどがシングルカットされており、特に「フェアリー（完全犯罪）」以外の楽曲は、アルバムとは異なるミックスでリリースされています。

本作は、ファンハウスへ一時的に移籍して制作されましたが、現在はEMIミュージックジャパンから再発されています。2007年には紙ジャケット・リマスター仕様で再発され、その音楽的な価値が改めて評価されました。

また、本作の楽曲をカラオケバージョンで収録した『LOVE MINUS VOICE』というTV Mix集も発売されています。

制作背景

アルバム制作当時、甲斐よしひろは自身のソロアルバム『ストレート・ライフ』の制作も同時進行していました。当初、『冷血（コールド・ブラッド）』と『ラヴ・マイナス・ゼロ』はソロ用の楽曲としてレコーディングされていましたが、メンバーの大森信和の脱退申し出により、急遽バンド用の楽曲として再レコーディングされることになりました。

幻となったソロテイクは、『ストレート・ライフ』完全盤に収録される予定でしたが、未発表のままとなっています。また、『ストレート・ライフ』に収録された『イエロー・キャブ』も、当初は本作に収録される予定でしたが、デモ制作段階で「甲斐バンド向きではない」と判断され、収録が見送られました。しかし、デモ音源は甲斐のデビュー25周年記念CD-BOX『HIGHWAY 25』で聴くことができます。

前作『GOLD/黄金|GOLD_黄金』の制作時に、バンドの演奏力の限界を感じた甲斐は、本作ではバンド全員で録音したのは『悪夢』と『夜のスワニー』のみで、他の楽曲は各パートが個別に録音され、スタジオミュージシャンの演奏を加えて制作されました。

収録曲

全作詞・作曲：甲斐よしひろ（特記以外）

1. 野獣
2. 冷血（コールド・ブラッド）
3. フェアリー（完全犯罪）
4. キラー・ストリート
5. ラヴ・マイナス・ゼロ
6. デッド・ライン
7. Try
8. 悪夢 (作曲：田中一郎)
9. 夜のスワニー

2007年のリマスター盤には、ボーナストラックとして『悪夢 （I.TANAKA Vo）』と『フェアリー（完全犯罪） （デモ・ヴァージョン）』が収録されています。

LOVE MINUS VOICE

『LOVE MINUS VOICE』は、『ラヴ・マイナス・ゼロ』のTV Mix集（カラオケ盤）です。LP、カセット、CDで収録曲が異なり、歌詞カードの代わりにショート・ストーリーが付属しています。

本作は、甲斐バンドの音楽性を多角的に捉える上で欠かせない作品と言えるでしょう。

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