ラ・ジャポネーズ

ラ・ジャポネーズ

『ラ・ジャポネーズ』（仏: La Japonaise）は、フランスの著名な画家クロード・モネによって1876年に描かれたオイルペインティングです。この作品は当時のフランスで流行していたジャポニスムの影響を大いに受けたもので、特にその装飾的な衣装の表現が評価されています。

作品の来歴と評価

「ラ・ジャポネーズ」は、1876年4月に開催された第2回印象派展に出展され、大きな注目を浴びました。展覧会の批評では、その衣装の見事な表現力に多くの賛辞が寄せられました。しかし、展示から取引は成立せず、同じ月に競売に出され、2010フランで落札されました。驚くべきことに、モネはこの作品に対して非常に冷淡な評価をしており、1918年に訪れた画商に対して「がらくたさ。気まぐれにすぎんのだよ」と答えています。彼の言葉からは、この作品に対するモネの真剣さの欠如が伺えます。

モネはこの作品を描く経緯について、先に発表した『緑衣の女』（1866年）が評価を受けたことから、それに対応する作品を描くよう勧められたと語っています。彼は「素晴らしい衣装」を見せられ、それにインスパイアされてこの作品に至ったとされています。また、モデルになった女性は、モネの最初の妻であるカミーユ・ドンシューと考えられており、彼女はモネのキャリアを影で支えていた存在でしたが、モネが成功を収める前に亡くなっています。

モネのジャポニスムへの思い

モネの日本に対する興味は広く知られており、彼は浮世絵を231点も所有していたことがわかっています。19世紀末から20世紀初頭にかけてのジャポニスムの発展において、モネは重要な役割を果たしたと言われています。ただし、彼の日本趣味を明確に表現した作品は、この「ラ・ジャポネーズ」のみとなっているため、特別な意味を持ちます。

この作品はさらに、モネが自身の作品に対する影響をどのように使ったかを考える手助けにもなります。馬渕明子は、モネが描いたこの作品は、他の作家たちの日本風の肖像画や、日本のスタイルの輸入品を既に知っていた上で、日本趣味の小道具を多く取り入れて描いたのだと考察しています。この作品も、モネが『緑衣の女』と対になる作品として描いたものですが、彼自身の意図は「肖像画を描くことではなく、当時のパリジェンヌを描くことにあった」とされています。

作品の細部に見る日本的な要素

「ラ・ジャポネーズ」では、日本の着物を着た金髪の女性が描かれています。女性は複雑に組み合わされた色彩の艶やかな衣装を身にまとい、扇を持ちながら微笑を浮かべています。背景には、色とりどりの日本の団扇が配置され、持っている扇子にはフランスの国旗にも似た色使いが施されています。

着物は江戸時代末期から明治時代初期のものとされ、モネはその刺繍の細かさや衣装の質感にこだわって描いています。女性の表情は、カミーユの一般的な肖像画に見られる青ざめた表情とは異なり、彼女の別の一面を通して描かれています。モネは、身体の動きや衣装の材質感に非常に注意を払い、さまざまな細部を忠実に再現しました。このような作品を通じて、モネは日本の美術と西洋の美学の融合を意識的に追求していたと考えられます。

結論

最終的に、クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」は、ジャポニスムの象徴的な作品として、フランスにおける日本文化の受容の初期段階を示しています。この作品は単なる日本的なモチーフの取入れに留まらず、モネ自身の技法と感性を駆使した結果でもあり、彼の芸術的な影響力を理解する上で重要な位置を占めています。

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