ラーデルンの戦い

ラーデルンの戦い：七年戦争におけるフランス軍の勝利

ラーデルンの戦いは、七年戦争中の1760年9月13日に、フランス軍がプロイセン・ハノーファー連合軍に対して勝利を収めた戦闘です。この戦いは、当時のヨーロッパの勢力図に小さな変化をもたらしました。

戦いの背景

プロイセン王フリードリヒ2世が東部戦線でオーストリア・ロシア連合軍と対峙する中、フランス軍は再びハノーファー選帝侯領への侵攻を試みました。これは、イギリスとの同君連合下にあるハノーファーを占領することで、カナダやインドにおけるフランスの損失を補填しようという戦略的な意図がありました。1760年8月12日、フランス軍はマールブルクが脅かされていることを知り、ブロイ公の指揮下でマリエンハーゲンへ軍を派遣、小競り合いで勝利し、30名を捕虜としました。

そして9月13日、スタンヴィル伯がフランケンベルクへ向かう途中、ラーデルンとミュンデンの間で敵軍と遭遇し、予期せぬ戦闘に発展しました。これがラーデルンの戦いの始まりです。

両軍の軍勢

両軍はエーダー川へと流れる小川を挟んで対峙し、その間には深い森が広がっていました。この地形が、戦いの展開に大きな影響を与えました。

フランス軍は、スタンヴィル伯がドーヴェルニュ連隊とブイヨン連隊を、セー伯が王立竜騎兵連隊とラ・フェローネ竜騎兵連隊を、メルフォール伯が王立ポーランド騎兵連隊、ポリ騎兵連隊、トゥースタン騎兵連隊をそれぞれ率いていました。

一方、プロイセン・ハノーファー連合軍は、アウグスト・クリスティアン・フォン・ビューローがプロイセン軍を、フェルセン伯がイギリス軍を指揮していました。

戦闘の経過

戦闘は、ドーヴェルニュ連隊が動かない中、ブイヨン連隊が左翼を補強するために2個大隊をリヒテンフェルス城へ派遣し、占領することから始まりました。そして午前10時、スタンヴィル伯の号令一下、フランス軍は攻撃を開始しました。

ドーヴェルニュ連隊の猟兵たちは小川を渡り、密林を抜けて、連合軍が陣地を構える小山へ銃剣突撃を敢行しました。同時に、セー伯率いる王立竜騎兵連隊とラ・フェローネ竜騎兵連隊、メルフォール伯の王立ポーランド騎兵連隊は別のルートから小山へ進軍し、騎兵突撃を仕掛けました。この突撃により、連合軍は混乱し、フェルセン伯が戦死する事態となりました。ロシャンボー伯率いるドーヴェルニュ連隊の擲弾兵と猟兵は、王立ポーランド騎兵連隊の援護を受けながら、連合軍を追撃しました。8個戦隊による追撃を受けた連合軍は、大砲3門を放棄してミュンデンへ撤退、さらにノイキルヒェンで再び小山を占領しましたが、そこでもフランス軍の猛攻を受けました。

フランス軍の砲兵部隊は、撤退する連合軍に対して激しい砲撃を加え、歩兵部隊は竜騎兵と連携しながら、山がちで小川や密林の多い地形を進撃し、大砲2門を鹵獲しました。

戦闘の結果

この戦いにおいて、フランス軍は連合軍から大砲8門、砲兵部隊、弾薬ワゴン40台を鹵獲し、1,200名の兵士を捕虜にするという大きな戦果を挙げました。さらに、連合軍の指揮官の一人であるフェルセン伯が戦死し、ビューロー自身も捕虜になりかけるという危機的な状況に陥りました。

しかし、スタンヴィル伯はこの勝利を決定的なものとすることができず、戦局は冬季戦役へと持ち越されました。そして、彼は1761年2月15日のランゲンザルツァの戦いにおいて、敗北を喫することになります。

ラーデルンの戦いは、七年戦争の一局面に過ぎませんが、当時の戦術や各国の思惑が絡み合った興味深い戦いとして、歴史に名を残しています。

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