ラーヤ (キャラクター)

ラーヤ：ディズニーの新たなプリンセス

ラーヤ（Raya）は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによるアニメ映画『ラーヤと龍の王国』（2021年）で初めて登場した架空のキャラクターです。この映画は、彼女がディズニープリンセスの13番目の公式メンバーになることを記念しており、ディズニーによる初の東南アジアを代表するプリンセスとして注目を集めました。声優にはアメリカの女優、ケリー・マリー・トランが起用され、独特なキャラクター造形が評価されています。

背景と物語の舞台

ラーヤは、架空の土地「クマンドラ」に住むハート部族の族長の娘であり、ドラゴンジェムの守護者としての役割を担っています。しかし、このジェムが壊れたことで、ドルーンと呼ばれる疫病の怪物が放たれ、彼女の父親を含む人々が石に変わってしまいます。ラーヤは、ペットのトゥクトゥクを伴い、最後の生き残りであるドラゴン、シスーを探し出し、ジェムの欠片を集めてドルーンを打ち倒す旅に出ます。

映画は、ラーヤとファング部族のプリンセス、ナマーリとの対立を軸に、信頼と団結の重要性を描く内容となっています。ラーヤは短気で独立心の強いキャラクターであり、従来のディズニープリンセスとは全く異なるポイントでも評価されています。

創作の背景

映画制作のプロセスでは、アジアの文化を尊重するために、多くのフィールドリサーチが行われました。プロデューサーのオスナット・シューラーは、東南アジア各国からインスピレーションを得て、強い女性戦士を主人公にするというテーマを重視しました。映画制作者たちは、ラオスやインドネシア、マレーシアに調査に出向き、豊かな文化的背景を取り入れることを目指しました。

共同脚本家のアデル・リムとクイ・グエンは、ラーヤのキャラクターが東南アジアの伝統的な女性戦士の姿を体現することを希望し、そのために彼女の物語を形成していきました。物語に込められたテーマは、困難な状況においても信じ合い、協力することが大切であるというメッセージです。

キャスティングとラーヤの特徴

ラーヤの声を担当することになったトランは、初めてのオーディションでは落選していましたが、キャラクターが新しくなり、再び役を得ることができました。彼女の演技は多くの映画賞にノミネートされる評価を受け、ラーヤのキャラクターには脆さと強さの両方が表れています。さらに、トランはラーヤを通じて、特にベトナム系アメリカ人としての文化的なつながりを表現しようとしました。

戦闘シーンのグラフィックとアクション

制作チームは、特に東南アジアの武道からインスピレーションを得た戦闘シーンの振り付けを行いました。ラーヤの戦闘スタイルはインドネシアのペンチャク・シラットやムエタイを基にしており、リアルな戦闘アクションが再現されています。また、ラーヤのデザインにおいては、彼女のバックグラウンドを反映させるために多様な文化的要素が取り入れられました。

評価と反響

『ラーヤと龍の王国』は、様々な批評家から高い評価を受けています。特にラーヤのキャラクターは、強く独立した女性のロールモデルとして称賛され、彼女の物語を通じて描かれる信頼と団結のテーマが共鳴しました。トランによる声の演技も好評で、彼女の演じるキャラクターが多様性やエンパワーメントを体現しているとの声が多く寄せられました。

この映画は、新型コロナウイルスの影響を受けて制作され、ディズニーの新たな時代を映し出す作品としても注目されています。ラーヤとシスーの友情、そして仲間たちとの冒険を通じた絆の物語は、観る人たちに強い印象を与えています。

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