リアル×ワールド

『リアル×ワールド』と『リアリTV』

日本テレビ系列で、2010年4月から2015年1月まで放送されたドキュメンタリー番組が『リアル×ワールド』です。この番組は、「ドキュメンタリーの新しい挑戦」という意欲的なテーマを掲げ、従来の形式にとらわれない多様な視点から、現代社会の様々な「リアル」に迫ることを目指しました。

番組の特色

『リアル×ワールド』が他のドキュメンタリー番組と一線を画していたのは、その企画体制にありました。通常、ドキュメンタリー制作は主に報道局が担うことが多い中、本番組では情報エンターテインメント局、スポーツ局、制作局といった異なる部署に加え、関連会社や外部の制作会社からも幅広く企画を公募しました。このオープンな募集体制が、多角的な視点と斬新なテーマ設定を可能にし、他のドキュメンタリー番組では扱われにくい題材にも光を当てる結果となりました。

番組は概ね月に一度のペースで、主に土曜日または日曜日の午後に、1時間ないしは1時間半の枠で放送されました。放送開始当初は主に関東ローカルでの放送でしたが、次第に日本テレビ系列の各局やBS日テレでも不定期ながら放送されるようになり、全国の視聴者にも届けられる機会が増えました。

発展と終焉

『リアル×ワールド』は、2015年1月13日の放送回をもって「発展的終了」という形でその幕を閉じました。約5年間の放送期間中、数多くのテーマに挑戦し、独自のドキュメンタリー像を模索しました。

しかし、ドキュメンタリーの探求というコンセプトは途絶えることなく、2015年6月13日からは、番組の精神を受け継ぐ後継番組として『リアリTV』に改題・リニューアルされました。『リアリTV』は、2016年3月12日までの約10ヶ月間放送され、引き続き多様なテーマで世の中のリアルを映し出しました。『リアル×ワールド』から『リアリTV』への移行は、番組フォーマットやスタッフの一部刷新を含みつつも、社会の深層に迫る姿勢は維持されました。

多様な放送内容

『リアル×ワールド』そして『リアリTV』では、非常に幅広いテーマが取り上げられました。その内容は、個人の人生や家族のあり方に迫るものから、社会的な出来事、災害、医療現場、スポーツ、エンターテインメント界の舞台裏まで多岐にわたりました。

例えば、『リアル×ワールド』では、以下のような多彩なテーマが取り上げられました。

家族の肖像: 大家族シリーズ、養子縁組を巡る物語など、様々な家族の形に密着。
社会の現実: 税金滞納者への徴収現場、熟年世代の婚活、認知症・身元不明者の公開捜索など、社会の光と影を描写。
命と救急: 救命救急やドクターヘリ、東京消防庁など、最前線で活動する人々を追うシリーズ。
特定の人物: 木村拓也、石川遼、古閑美保、ジャニーズJr.、メンタリストDaiGo、髙橋大輔、EXILE、斎藤佑樹など、著名人や話題の人物の内面に迫る企画。
東日本大震災: 震災発生からの日数ごとに長期的に被災地の現実を見つめるシリーズ。
教育: 開成&麻布中学の受験、芸大生の葛藤など。

後継番組『リアリTV』でも、「日本を揺るがせた重大事件・出来事の真相」や「がんという病と向き合う人々」、「長嶋茂雄氏の今」など、現代社会や著名人に関するテーマが取り上げられました。

これらのテーマ選択は、報道局以外の多様な部署や外部制作会社の視点が反映された結果であり、ドキュメンタリー番組の可能性を広げようとする番組の意欲を示しています。各回、異なるスタッフが企画・制作に関わることで、それぞれのテーマに合わせた独自の表現方法が探求されました。

『リアル×ワールド』から『リアリTV』へと形を変えながらも、約6年間にわたり日本テレビで放送されたこのドキュメンタリーシリーズは、様々な角度から「リアル」を問い直し、視聴者に対して多様な視点や問題提起を提供した、挑戦的な試みであったと言えるでしょう。

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