リエル

カンボジアのリエル：歴史、現状、そして未来

カンボジア王国の公式通貨であるリエルは、複雑で興味深い歴史と、現在もなお続く独特の流通状況を持つ通貨です。この記事では、リエルの誕生から現在に至るまでの歴史、その使用状況、そして紙幣や硬貨について詳細に解説します。

リエルの歴史：激動の時代を映す通貨

リエルの歴史は、カンボジアの近代史と深く関わっています。1953年、フランス領インドシナ・ピアストルと並行して発行されたリエルは、当初はピアストルと等価でしたが、その後、独自の通貨として発展を遂げました。補助通貨単位としてカクとセンが存在しましたが、現在では流通していません。

クメール・ルージュ政権下（1975年-1980年）では、リエルは一時的に廃止されました。この期間、独自の紙幣が印刷されたという説もありますが、公式な通貨としては機能していませんでした。1980年、カンボジア国立銀行の設立と共にリエルは復活。米ドル1ドル＝4リエルというレートで開始されました。その後、為替レートは変動し、2012年には1ドル＝4001リエルとなりました。しかし、市中では1ドル＝4000～4500リエルで取引されることが一般的です。

現在のリエル：米ドルとの共存

現在、カンボジアではリエルと米ドルが併用されています。中産階級や富裕層の間では、米ドルが広く利用されています。これは、リエルの為替レートがカンボジア経済の実態と比較して高めに設定されていること、輸出において不利な状況にあることが原因です。一方、地方部や低所得者層の間では、リエルが主要な通貨として利用されています。公務員の給与もリエル払い原則です。コンビニエンスストアなどでは、米ドルとリエルの交換レートを明確に表示していることが多いです。

リエルの紙幣と硬貨：多様な額面と希少価値

現在、流通しているリエル紙幣の額面は、50、100、200、500、1000、2000、5000、10000、15000、20000、30000、50000、100000リエルと多岐に渡ります。しかし、50リエル紙幣は新規製造されておらず、15000、30000、100000リエル紙幣は記念紙幣として発行されています。2014年には、日本の援助で作られた橋が描かれた500リエル紙幣も発行されました。硬貨は、50、100、200、500リエルがありますが、流通は少ないのが現状です。

まとめ：変化を続けるカンボジアの通貨

リエルは、カンボジアの歴史と社会経済状況を反映する通貨です。米ドルとの併用、地方部と都市部での異なる使用状況など、その流通状況は複雑で、今後の動向にも注目が必要です。リエルの変遷を知ることは、カンボジアの過去と現在、そして未来を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。

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