リオネル・ジョスパン

リオネル・ジョスパン：フランス社会党の重鎮とその時代

リオネル・ジョスパン（1937年7月12日 - ）は、20世紀後半から21世紀初頭にかけてフランス政界を代表する政治家のひとりです。パリ近郊ムードン生まれのプロテスタント家庭に育ち、フランス国立行政学院（ENA）卒業後にフランス外務省、パリ第11大学経済学部教授を経て、1971年にフランス社会党に入党しました。

政治家としてのキャリア

1981年、国会議員に初当選。その後、1981年から1988年にかけてフランス社会党第一書記を務め、フランソワ・ミッテラン政権下では1988年から1992年まで教育大臣として活躍しました。

1995年、再びフランス社会党第一書記に就任し、同年5月の大統領選挙に同党候補として立候補しますが、ジャック・シラクに惜敗します。しかし、1997年6月の総選挙で左翼連合が勝利し、ジョスパンはフランス首相に就任しました。

ジョスパン内閣と「多元的左翼」

首相としてジョスパンは「多元的左翼」という路線を掲げ、イギリスのトニー・ブレア政権やドイツのゲアハルト・シュレーダー政権とは異なる政策を推進しました。学者出身らしい実直さで、大衆人気は高くありませんでしたが、その誠実さが国民に支持されたと言えるでしょう。

ジョスパン内閣は、組閣にあたり「五月革命」世代を積極的に起用しました。ジャック・ラング、ベルナール・クシュネル、ドミニク・ストロス＝カーンなど、多くの若手政治家を登用し、党内実力者であるミシェル・ロカールやローラン・ファビウスらを完全に排除したことで、清新な内閣を目指しました。

その政策的成果としては、実現困難とされていた週35時間労働法の成立・施行や、市民連帯協定（PACS）の実現などが挙げられます。

大統領選敗北と政界引退

2002年フランス大統領選挙に再挑戦しますが、左翼候補の分裂により、第一回投票でジャック・シラクとジャン＝マリー・ルペンに敗れ、政界引退を表明します。この結果は、フランス政治に衝撃を与え、ジョスパン自身も大きな落胆を示しました。敗北の責任を一身に負い、フランス国民への感謝と、社会党員への将来への警鐘を訴えました。

引退後とその後

政界引退後は、著作を発表するなど活発な活動を続け、2007年大統領選挙への出馬も噂されました。世論調査でも一定の支持を得ていましたが、最終的にはセゴレーヌ・ロワイヤル候補への支持を表明し、出馬を断念しました。

2010年には、映画『戦争より愛のカンケイ』に本人役で出演。また、2015年には、彼の母ミレイユの尊厳死を描いた映画『92歳のパリジェンヌ』が公開されるなど、多方面で活躍を続けています。

まとめ

リオネル・ジョスパンは、フランス社会党を代表する政治家として、教育大臣、首相を歴任し、フランス政治に大きな足跡を残しました。「多元的左翼」という独自路線や、週35時間労働法などの政策は、現代フランス社会に大きな影響を与え続けています。彼の政治家としての姿勢や、政界引退後も続く活動は、今後のフランス政治を考える上でも重要な視点となるでしょう。

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