リカルド・カストロ

ブラジル出身の著名な音楽家、リカルド・カストロ（Ricardo Castro、1964年 11月7日 - ）は、指揮者およびピアニストとして国際的に活躍しています。ブラジル本国では「ヒカルド・カストロ」と呼ばれ親しまれています。彼はブラジルのバイーア州、ヴィトリア・ダ・コンキスタに生まれました。

音楽的キャリアの始まり

カストロの音楽への道のりは非常に早い時期に始まりました。わずか3歳にして独学でピアノ演奏を始めた彼は、その非凡な才能をすぐに認められ、5歳という若さで特例としてサルヴァドール音楽セミナーへの入学を許可されました。この音楽学校は、現在バイーア連邦大学（UFBA）の一部として質の高い音楽教育を提供していることで知られています。

ヨーロッパでの研鑽

1984年、カストロは更なる音楽的成長を追求するため、自費でヨーロッパへと渡りました。彼はジュネーブ音楽院に入学し、ピアノの分野では高名なマリア・ティポに師事してヴィルトゥオーゾとしての技量を磨きました。同時に、アルパード・ゲレツのもとで指揮法も学び、ピアニストとしてだけでなく、指揮者としてのキャリアの基礎を築きました。このヨーロッパでの集中的な研鑽は、彼の後の国際的な活躍に不可欠なものとなりました。

国際的な成功

リカルド・カストロのキャリアにおける最も重要な出来事の一つは、1993年にイギリスで開催されたリーズ国際ピアノ・コンクールでの優勝です。このコンクールは世界的に権威あるものとして知られており、1963年の創設以来、ラテンアメリカ出身の音楽家が優勝するのは彼が初めての快挙でした。この優勝により、カストロは国際的な舞台で一躍脚光を浴び、世界中の主要なオーケストラや音楽祭から招かれるようになりました。

NEOJIBAでの活動

カストロは現在、ブラジルのバイーア州で社会包摂と音楽教育を目的とした革新的なプロジェクト、バイーア州青少年児童オーケストラ (NEOJIBA - Núcleos Estaduais de Orquestras Juvenis e Infantis da Bahia) の総監督および芸術監督を務めています。彼はこの活動を通じて、多くの青少年や子どもたちに音楽に触れる機会を提供し、彼らの才能を育成することに情熱を注いでいます。

NEOJIBAの中心的な存在であるバイーア青少年オーケストラは、カストロの指揮のもとで国内外での活動を積極的に行っています。2010年にはヨーロッパ各地でのツアーを成功させ、その音楽性を高く評価されました。また、2011年にはジュネーブの著名なコンサートホールであるビクトリア・ホールでの演奏を実現するなど、国際的な舞台での活躍も目覚ましいものがあります。これらの活動は、カストロのリーダーシップと指導力、そしてNEOJIBAに参加する若い音楽家たちの才能を示すものです。

ディスコグラフィー

リカルド・カストロは、ピアニストおよび指揮者として数多くの録音を残しており、その芸術性が広く認識されています。以下に主要な録音の一部を挙げます。

1990年：オリヴィエ・メシアン - 《世の終わりのための四重奏曲》 (Olivier Messiaen - Quatuor pour la fin des temps)
1995年：フレデリック・ショパン - 《夜想曲集 Vol. 1 (第1番 - 第10番)》 (Frédéric Chopin – Nocturnes Vol. 1 Nos. 1-10)
1995年：フランツ・リスト - 《巡礼の年第2年イタリア》より《リゴレット》による演奏会用パラフレーズ (Franz Liszt – Années de Pélerinage – Rigoletto Concert Paraphrase)
1998年：フレデリック・ショパン - 《夜想曲集 Vol. 2 (第11番 - 第21番)》 (Frédéric Chopin – Nocturnes Vol. 2 Nos. 11-21)
1998年：フレデリック・ショパン - 《ピアノ協奏曲第1番・第2番》、ポロネーズ集 (作品22、26、53) (Frédéric Chopin – Piano Concertos Nos. 1&2; Vol. 1: Polonaises Op.22, 26 e 53)
1999年：フレデリック・ショパン - 《ソナタ集》、《ワルツ集》、《夜想曲》 (Frédéric Chopin – Sonatas – Waltzes – Nocturne)
2004年：フランツ・シューベルト - マリア・ジョアン・ピリスとの共演盤 (Franz Schubert – Ricardo Castro e Maria João Pires)
2011年：アントニン・ドヴォルザーク、ロベルト・シューマン - OSESP弦楽四重奏団との共演盤 (ブラジル) (Dvorak e Schumann, com Quarteto de Cordas da OSESP - Brasil)
2013年：「バイーア・オーケストラル」 - バイーア青少年オーケストラとの録音 (ブラジル) (“Bahia Orquestral”, com Orquestra Juvenil da Bahia – Brasil)
2014年：エンヒキ・オズヴァルド - OSESP弦楽四重奏団との共演盤 (ブラジル) (Henrique Oswald, com Quarteto de Cordas da OSESP – Brasil)

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