リザ・デル・ジョコンド

リザ・デル・ジョコンドとは

リザ・デル・ジョコンド（1479年6月15日 - 1542年7月15日/1551年頃）は、イタリアのフィレンツェの名家ゲラルディーニ家の出身の女性です。彼女は、絹織物商人のフランチェスコ・デル・ジョコンドと結婚し、レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた肖像画『モナ・リザ』のモデルとして、後世に名を残しました。

リザの生涯については、記録が少なく、謎に包まれている部分も多くあります。しかし、彼女がフィレンツェで生まれ、10代でフランチェスコと結婚し、5人の子供をもうけ、中流階級の生活を送ったことはわかっています。彼女は夫よりも長生きしたとされていますが、その正確な没年は定かではありません。

『モナ・リザ』は、リザの死後数世紀を経て世界で最も有名な絵画の一つとなりました。しかし、モデルとなったリザ・デル・ジョコンドの存在は、長い間忘れられていました。2005年に至り、彼女こそが『モナ・リザ』のモデルであったということが、決定的に証明されたのです。

幼少期と家族

リザの出身家であるゲラルディーニ家は、フィレンツェの旧家でしたが、当時、裕福とは言えませんでした。家族は、農地からの収入を主な生計としていました。リザの父、アントンマリア・ディ・ノールド・ゲラルディーニは、3度の結婚を経験しており、リザの母、ルクレツィア・デル・カッチアは3番目の妻でした。

リザは、1479年6月15日にフィレンツェで生まれました。彼女には、3人の妹と3人の弟がいました。ゲラルディーニ家は、フィレンツェ市内の複数の場所に住居を構え、また、郊外にも別荘を持っていました。

結婚と後半生

1495年、15歳のリザは、織物商人のフランチェスコ・デル・ジョコンドと結婚しました。リザの持参金は、それほど高額ではありませんでしたが、当時のゲラルディーニ家の経済状況を考慮すると、愛に基づいた結婚だったと考えられます。ジョコンド家はゲラルディーニ家よりも裕福で、リザの結婚は彼女の社会的地位を向上させたと考えられています。

リザとフランチェスコは、5人の子供に恵まれました。フランチェスコの先妻の息子も、リザが育てました。リザの娘たちは、修道女となりました。夫フランチェスコは、後にフィレンツェの行政官となり、政治的な地位を確立しました。

フランチェスコは1528年にペストで亡くなりました。リザの没年は1532年とする説と1551年とする説があります。フランチェスコの遺言により、リザは結婚時の持参金を返還され、財産を相続しました。

モナ・リザ

ジョコンド家は芸術を愛し、芸術家のパトロンでした。フランチェスコは、レオナルド・ダ・ヴィンチに妻リザの肖像画を依頼しました。この肖像画が、後に『モナ・リザ』として知られるようになった作品です。

『モナ・リザ』は、当時の女性美の理想を描いた作品とされています。リザは、貞淑な妻を象徴するポーズで描かれています。レオナルドは、リザを富裕層の女性として、優雅に表現しました。

レオナルドは、『モナ・リザ』の制作に没頭し、この作品の完成に長い年月を費やしました。彼は、この作品の代金を受け取らず、また、依頼主であるフランチェスコに引き渡すこともありませんでした。1516年頃、レオナルドは『モナ・リザ』を携えてフランスに渡り、フランス王室のコレクションに加わりました。

『モナ・リザ』という題名は、リザの結婚後の姓に由来しています。この作品は、世界的に有名なアイコンとなり、多くの人々に愛されています。

2005年、ハイデルベルク大学図書館の資料から、リザ・デル・ジョコンドが『モナ・リザ』のモデルであるという証拠が発見されました。これにより、長年の謎に一つの決着がつけられました。

『モナ・リザ』は、現在、パリのルーヴル美術館に展示されており、世界中の人々を魅了し続けています。

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