リシャール・ボーランジェ

リシャール・ボーランジェ（Richard Bohringer, 1942年1月16日 - ）は、フランス出身の俳優です。ジャン＝ジャック・ベネックス、リュック・ベッソン、ピーター・グリーナウェイといった、個性豊かな監督たちの作品に出演し、その存在感を示してきました。

生い立ちと初期の活動
アリエ県のムーランで生まれたボーランジェは、第二次世界大戦中にドイツ国防軍士官とフランス人女性の間に生まれました。両親は戦火を逃れるため、生後間もない彼を母方の祖母に託し、自身はドイツを離れました。祖母はエピネー＝シュル＝セーヌの低所得者向け集合住宅で暮らし、決して裕福とは言えない環境でボーランジェは育ちましたが、彼は祖母と過ごした子供時代を幸せだったと振り返っています。

当初はライターとして活動を始め、1966年には戯曲『Zorgl'ub』を発表。その後、『奇襲戦隊』の脚本に参加し、映画界へと足を踏み入れました。1973年にはシャルル・マトン監督の『L'italien des roses』で映画初主演を果たします。

俳優としての飛躍
1977年、『ムッシュとマドモアゼル』に脇役として出演した際、同作の助監督を務めていたジャン＝ジャック・ベネックスの目に留まり、ベネックス監督のヒット作『ディーバ』（1981年）に起用されます。この作品で一気に知名度を高めたボーランジェは、それまでの不安定な生活に別れを告げ、俳優業に本格的に取り組むことになります。

1984年には『L'Addition』でセザール賞助演男優賞を受賞。1987年には『フランスの思い出』で同主演男優賞を受賞し、演技派俳優としての地位を確立しました。

作家、歌手としての才能
1988年には、70年代の放浪生活を基にした自叙伝的エッセイ「C'est beau une ville la nuit」を発表。この作品は25万部のベストセラーとなり、ボーランジェ自身が監督・映画化を構想。チェッキー・カリョを主演に、実娘のロマーヌ・ボーランジェらを助演に迎えましたが、映画化は紆余曲折を経て、2006年にようやく実現しました。

小説発表後には歌手としても活動を開始し、1999年から2002年の間に3枚のアルバムをリリースしています。

多彩な才能とアフリカへの愛
俳優としての地位を確立した後も、ボーランジェは数多くの映画作品に出演し、現代フランス映画界を代表する存在の一人として活躍しています。また、歌を歌うことを好み、アフリカをこよなく愛しており、2002年にはセネガル国籍を取得しました。

リシャール・ボーランジェは、俳優としてだけでなく、作家、歌手としても才能を発揮し、その多彩な魅力で人々を魅了し続けています。

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