リターン・トゥ ジュラシック・パーク

『リターン・トゥ ジュラシック』（Return to Jurassic Park）は、1995年にアメリカのTopps comicsより刊行された、『ジュラシック・パーク』シリーズを題材としたコミック作品群です。全9冊から成り、それぞれが独立した、あるいは連作形式の物語を展開しています。これらの作品は、後に2010年にIDWパブリッシングから出版された総集編『Jurassic Park Classics』の4巻と5巻にも収録されています。

本シリーズは大きく3つのパートに分かれています。

「グリーン・ファイアー」編（1巻～4巻）

このパートは、コミック『ジュラシック・パーク/ラプター』シリーズの出来事の後に位置する物語です。イスラ・ヌブラル島沖で負傷したアメリカ陸軍兵士が発見され、彼は謎めいた言葉「グリーン・ファイアー」を口にして息絶えます。この情報を得たインジェン社創始者のジョン・ハモンドは、「グリーン・ファイアー」が軍の秘密裏の研究に関わるものと推測。真相を探るため、古生物学者のアラン・グラント博士、古植物学者のエリー・サトラー博士、元パーク監視員のロバート・マルドゥーン、そしてハモンドの側近であるエドガー・プレイザーをイスラ・ヌブラル島へ派遣します。

島に上陸した調査チームは、インジェン社のライバルであるバイオシン社が派遣したラウル・ロペスとガイドのソーニャ・ドゥラントに出会います。彼らもまた「グリーン・ファイアー」を追って島に来ていました。当初は対立し、ロペスたちはグラント博士たちに拘束されますが、ケアラダクティルスの襲撃や反乱を起こした米軍兵士との銃撃戦に巻き込まれたことで、一時的に協力関係を結びます。

6人は「グリーン・ファイアー」の秘密が隠されていると思われる軍の基地を探し求めますが、その過程で様々な危険に遭遇します。特にティラノサウルスとの遭遇は激しく、ソーニャ・ドゥラントが負傷し、エドガーが彼女を救出する一幕も。辛うじて軍の基地にたどり着いたグラント、エリー、マルドゥーン、ロペスの4人は捕らえられます。しかし、後を追ってきたエドガーとドゥラントが警備員に偽装して基地に潜入し、救出を試みます。その最中、ティラノサウルスが再び基地を襲撃し、混乱の中でロペスが命を落とします。また、エドガーは「グリーン・ファイアー」の秘密を明かそうとしないドゥラントを非情にも崖から突き落として殺害します。結局、「グリーン・ファイアー」の正体は明らかにならないまま、グラントたちはハモンドが手配した潜水艦での脱出を目指します。

「イスラ・ヌブラル島の騒動」編（5巻～8巻）

このパートは、グラント博士たちが初めてパークを訪れた時期と同時期に起こった、イスラ・ヌブラル島での別の出来事を描いています。パーク従業員のデリック・ホイルとアビー・ナカジマは、遺伝学者グスタバス博士が隠していた恐竜の卵を発見します。その卵は博士が研究所で処分すると言っていた無精卵でした。好奇心から卵を持ち出した2人は、博士の追跡を受けながら、彼がパークから離れた場所で秘密裏に研究を行っていることを知ります。

デリックとアビーは、博士が突然変異誘発物質を用いて「優れた」変異体恐竜を創造しようとしている事実を知り、その野望を阻止しようとします。嵐の中、博士の隠れ家に潜入した2人は、博士に銃撃されますが辛くも逃走。追ってきた博士は、自身の造ったディロフォサウルスに噛まれ負傷します。隠れ家に戻ったデリックたちは無線で助けを求めますが、博士も戻ってきて再び襲いかかります。しかし、博士は自身が生み出した変異体レックスの子に襲われ、隠れ家もろとも崖から崩落し海へ落ちていきます。デリックとアビーは崩壊を免れ、ヘリコプターによって救助されます。

その後、嵐によって島中の恐竜が脱走したため、イスラ・ヌブラル島はアメリカ陸軍の管理下に置かれます。元従業員のデリックとアビーは再び軍に雇われて島へ戻ります。そこで彼らは、禁じられているにも関わらず恐竜を無断で撮影し、週刊誌に売りつけようとする米軍ヘリパイロットのビーバーとシャンディーに出会います。デリックとアビーは彼らを注意し、アビーが違反を報告すると警告しますが、2人は撮影したフィルムをアビーの持ち物と偽装し、彼女を島沖に突き落とします。アビーは手に入れたフィルムを証拠として無実を証明しようとしますが、ビーバーたちはフィルムを取り戻そうと彼女を襲います。デリックとアビーは共に逃げながら、将軍に真実を伝え無実を証明するために奔走します。

「ジュラシック・ジャム」編（9巻）

このエピソードは、映画第1作の出来事が起こる前の物語です。パークの完成が進む中、管理人のムリーリョは恐竜脱走を恐れる妄想症に悩まされ、セキュリティシステムについて恐竜監視員のロバート・マルドゥーンと対立していました。ムリーリョは動物を制御する技術が完全であると信じていましたが、マルドゥーンは懐疑的でした。

ある時、司令部センターの電力供給が停止し、ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルスが囲いから脱走したとの情報が表示されます。パニックに陥る技術者たちはシステムエンジニアのデニス・ネドリーを呼びますが、彼は仕事をサボって島のビーチで過ごしており見つかりません。脱走したティラノサウルスはステゴサウルスを追いかけ、マルドゥーンとムリーリョはジープでステゴサウルスの群れを追跡しますが、ムリーリョは事故で命を落とします。

その最中、ハモンドがヘリコプターで抜き打ちの視察に訪れます。マルドゥーンは麻酔銃を用いて、脱走した恐竜たちを捕獲することに成功しますが、犠牲者を出してしまいます。遅れて司令部センターに戻ったネドリーは、システムトラブルの原因がネズミがケーブルを齧ったことだと説明し、ハモンドを呆れさせます。マルドゥーンは捕獲した恐竜たちのための新しい囲いを設計するのでした。

これらの物語を通して、『リターン・トゥ ジュラシック』は、イスラ・ヌブラル島とその обитатели を巡る様々な人間ドラマと恐竜の脅威を描き出しています。

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