リターン・トゥ・フォーエヴァー

リターン・トゥ・フォーエヴァー（Return to Forever）

リターン・トゥ・フォーエヴァーは、1970年代にチック・コリアとスタンリー・クラークを中心に結成された、アメリカを代表するフュージョンバンドです。その音楽性は、ラテン音楽、ロック、ファンクなど多様な要素を融合し、時代ごとに変化を遂げました。

バンドの歴史

リターン・トゥ・フォーエヴァーの音楽的変遷は、大きく分けて3つの期に分類できます。

第1期（ラテン音楽の影響）

チック・コリアは、マイルス・デイヴィスの『イン・ア・サイレント・ウェイ』や『ビッチェズ・ブリュー』といったエレクトリック・ジャズの先駆け的作品に参加した後、スタンリー・クラークを誘い、バンドを結成。ジョー・ファレル、アイアート・モレイラ、フローラ・プリムという個性的なメンバーを加え、ラテン音楽の要素を取り入れたサウンドを追求しました。1972年には、実質的なデビュー作となるアルバム『リターン・トゥ・フォーエヴァー』を発表。「スペイン」は、今日まで多くのアーティストにカバーされるスタンダードナンバーとなりました。
第2期（ロック色の強化）

メンバーの入れ替えを経て、ビル・コナーズ、レニー・ホワイトといったロック色の強いミュージシャンが加入。よりアグレッシブでテクニカルなサウンドへと移行しました。アル・ディ・メオラの加入後、黄金期を迎え、アルバム『銀河の輝映』や『ノー・ミステリー』は高い評価を獲得。1975年には『ノー・ミステリー』でグラミー賞を受賞しました。メンバーそれぞれのソロ活動も活発化し、バンドはコロムビア・レコードへ移籍。アルバム『浪漫の騎士』を大ヒットさせましたが、アルとレニーが脱退し、このラインナップでの活動は終焉を迎えました。
第3期（ファンキーな路線へ）

チックとスタンリーは、新たなメンバーを迎え、ホーンセクションを加えた大編成で、よりファンキーなサウンドを追求しました。アルバム『ミュージックマジック』を発表しましたが、短期間で解散。

再結成とその後

1982年、アル・ディ・メオラ在籍時のラインナップで再結成。チックのアルバムへの参加や来日公演を行いました。その後、チックは自身のエレクトリック・バンドで、第2期リターン・トゥ・フォーエヴァーの音楽性を継承。

2007年には再々結成が発表され、2008年には大規模なツアーを敢行。ライブアルバムやDVDもリリースされました。

2011年には、フランク・ギャンバレ、ジャン＝リュック・ポンティという新たなメンバーを迎え、第4期と呼べる編成で活動を再開。28年ぶりの日本公演も行われました。

各期のメンバー

第1期：チック・コリア、スタンリー・クラーク、ジョー・ファレル、アイアート・モレイラ、フローラ・プリム
第2期（I）：チック・コリア、スタンリー・クラーク、ビル・コナーズ、スティーヴ・ガッド、ミンゴ・ルイス
第2期（II）：チック・コリア、スタンリー・クラーク、ビル・コナーズ、レニー・ホワイト
第2期（III）：チック・コリア、スタンリー・クラーク、アール・クルー、レニー・ホワイト
第2期（IV）：チック・コリア、スタンリー・クラーク、アル・ディ・メオラ、レニー・ホワイト
第3期：チック・コリア、スタンリー・クラーク、ゲイル・モラン、ジェリー・ブラウン、ジョー・ファレル
リユニオン：チック・コリア、スタンリー・クラーク、アル・ディ・メオラ、レニー・ホワイト
* 第4期：チック・コリア、スタンリー・クラーク、レニー・ホワイト、フランク・ギャンバレ、ジャン＝リュック・ポンティ

リターン・トゥ・フォーエヴァーは、常に革新的な音楽を追求し、フュージョン音楽の可能性を広げた、偉大なバンドとして、その名を音楽史に刻んでいます。

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