リッカルド・ザンドナーイ

リッカルド・ザンドナーイ：情熱と叙情の旋律を紡いだ作曲家

リッカルド・ザンドナーイ（1883年5月30日 - 1944年6月5日）は、イタリアの作曲家であり、特にオペラ作品で知られています。彼の代表作である『フランチェスカ・ダ・リミニ』は、ダンテの『神曲』「地獄篇」に着想を得た情熱的な物語で、世界中のオペラファンを魅了し続けています。

生涯

ザンドナーイは、オーストリア＝ハンガリー帝国領だったロヴェレートで生まれました。幼い頃から音楽の才能を発揮し、ロヴェレートの音楽学校で学んだ後、ペーザロの音楽学校で作曲家ピエトロ・マスカーニに師事しました。マスカーニの指導の下、ザンドナーイは作曲家としての基礎を築き、卒業後はオーケストラや歌劇場でヴァイオリンやヴィオラ奏者として経験を積みました。

1904年、ザンドナーイはミラノに移り住み、作曲家としての活動を本格化させます。1908年には、チャールズ・ディケンズの『炉ばたのこおろぎ』を原作とするオペラ『Il grillo del focolare』を発表。この作品の成功がきっかけとなり、リコルディ社からジャコモ・プッチーニが放棄した台本『コンチータ』の作曲を依頼されます。

1911年にミラノで初演された『コンチータ』は、そのエキゾチックな題材と情熱的な音楽で大きな話題を呼び、ザンドナーイの名声を確立しました。リコルディ社は彼をプッチーニの後継者と見なすようになり、ザンドナーイは次々とオペラ作品を発表していきます。

しかし、次の作品『メレニス』は成功を収めることができませんでした。そこでリコルディ社は、当時最も人気のあった劇作家ガブリエーレ・ダンヌンツィオとザンドナーイを組ませ、オペラ『フランチェスカ・ダ・リミニ』を作曲させました。この作品は1914年にトリノで初演され、師であるマスカーニのオペラ『パリジーナ』を凌ぐ人気を博し、ザンドナーイの代表作となりました。

第一次世界大戦中、ザンドナーイは愛国歌を作曲するなどイタリアを支持したため、オーストリア政府から国家反逆罪で財産を没収されるという苦難も経験しました。しかし、その後も作曲活動を続け、1916年にはオペラ歌手のタルクィニア・タルクィーニと結婚し、ペーザロに居を構えました。

晩年は指揮者としても活動し、ロッシーニ作品の編曲や映画音楽の作曲にも携わりました。第二次世界大戦中には自宅をドイツ軍に押収され、修道院に避難。1944年にモンバロッチョで亡くなりました。彼の遺体は、後に生地であるロヴェレートに移されました。

プッチーニとの関係

ザンドナーイは、プッチーニの未完のオペラ『トゥーランドット』の補筆者候補としても名前が挙がっていました。プッチーニ自身もザンドナーイを後継者として認めており、トスカニーニもその案を支持していました。しかし、最終的にはプッチーニの息子がこの案を却下し、フランコ・アルファーノが補筆を担当することになりました。もしザンドナーイが『トゥーランドット』を完成させていたら、オペラ史は大きく変わっていたかもしれません。

主要作品

歌劇『フランチェスカ・ダ・リミニ』
歌劇『コンチータ』
歌劇『ジュリエッタとロメオ』
歌劇『エケブの騎士たち』
* 歌劇『ジュリアーノ』

リッカルド・ザンドナーイは、その短い生涯の中で数々の傑作を生み出し、イタリアオペラの黄金時代を彩りました。彼の作品は、今日でも世界中の歌劇場で上演され、多くの人々を魅了し続けています。

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